2019 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体系イオン液体をキャリアとする高性能酸素分離膜の創製
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19J11532
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松岡 淳 神戸大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 促進輸送膜 / イオン液体 / ガス透過機構 / 酸素分離膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究グループでは、酸素吸収性の金属錯体を化学構造中に含んだ、酸素吸収性金属錯体系イオン液体(MCILs)の合成に成功している。このMCILsをキャリア膜の酸素キャリアとして用いた際には、高性能酸素分離膜の開発が期待される。そこで、本研究では、新規に開発した酸素吸収性MCILsを用いた高性能酸素促進輸送膜の開発について検討した。本年度は、MCILsをキャリアとする酸素促進輸送膜の酸素および窒素のガス透過メカニズムを解明するとともに、性能改善に向けた物性制御指針を確立した。 合成した種々MCILsを用いて含浸液膜を作製し、その酸素および窒素透過係数を測定した。得られた各ガスの透過係数について、モデル解析を行った。モデル解析を用いた検討の結果、MCILsのガス透過機構は、酸素と結合したキャリアが膜内を拡散するという、移動キャリアモデルで説明できることが分かった。一方で、MCILs中における溶質の拡散係数について検討したところ、MCILs中における溶質の拡散係数は、MCILsの自由体積に強く影響されていることが明らかとなった。この結果より、MCILs中での拡散メカニズムは、粘度に支配される、一般的な溶液中での拡散メカニズムとは異なることが示唆された。さらなる検討の結果、MCILsの粘度が高いために、MCILs中では分子の運動が制限され、液体であるにもかかわらず、まるで固体のように振る舞っている可能性が示唆された。 以上の検討結果より、現状のMCILsは粘度が大きすぎるため、一般的なイオン液体型促進輸送膜の「粘性流体場における拡散」に基づく酸素の透過がほとんど起こっていない。もし、「粘性流体場における拡散」に基づく酸素の透過が支配的になれば、MCILs含浸液膜の酸素透過速度は現状よりも有意に速くなると考えられる。従って、性能改善指針は、MCILsの粘度低減であるといえる。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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