2019 Fiscal Year Annual Research Report
新規高耐食化技術の開発による次世代型高強度高耐食性アルミニウム合金の創製
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19J11580
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柿沼 洋 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | アルミニウム / 電気化学 / 金属間化合物 / 腐食防食 / 孔食 / 表面処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
その場観察機能付きマイクロ電気化学システムを用いて、局部腐食の起点となる金属間化合物の電気化学特性を解析した。腐食の起点となる金属間化合物はアルカリ環境下で溶解しないため、中性あるいは酸性環境でも高いカソード活性を示すことが分かった。また、バルク金属間化合物を作製し、カソード活性に及ぼす金属間化合物組成の影響を解析した。その結果、金属間化合物組成により表面皮膜の厚さと組成が異なり、アルカリ水溶液中での電気化学特性も異なることが明らかになった。これらの知見を基に、アルミニウム合金の耐食性を向上させる金属元素を検討した。 新しく得られた知見と昨年度解明した局部腐食発生メカニズムを応用し、化成処理等の表面処理による高耐食化技術を開発した。微量の金属イオンを含んだ水溶液を用いた化成処理を行い、アルミニウム合金の高耐食化に成功した。表面処理を行ったアルミニウム合金は非常に高い耐食性を示したが、より過酷な腐食環境においては極微量の高カソード活性を示す金属元素を含む化合物を起点として局部腐食を生じる場合があることが明らかになった。そこで、これらの金属元素を含む金属間化合物を起点として人為的に比較的小さい局部腐食を発生させ、起点となる金属間化合物をアルミニウム表面から脱離させる技術を開発した。 また、アルミニウム合金に微量の金属元素を添加し、金属間化合物組成を制御することでアルミニウム合金の耐食性を向上させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載していた、令和元年度の重点課題であった金属間化合物の電気化学特性に及ぼす化合物組成の影響を明らかにした。さらに、金属間化合物の電気化学特性制御には表面皮膜の厚さと組成の制御が重要であるとの知見に着想を得て、化成処理技術の開発を行った。その結果、令和2年度の重点課題であった新規高耐食化技術の開発に当初の計画よりも前倒しで取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
高温あるいは高濃度塩化物イオン濃度等の過酷な腐食環境においても、高耐食性を示す化成処理技術の開発を行う。また、化成処理による表面皮膜形成メカニズムをより詳細に解析し、環境負荷が小さくアルミニウム合金の耐食性を飛躍的に向上させる表面処理技術を確立する。
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