2019 Fiscal Year Annual Research Report
光による分子ダイナミクス制御へ向けた実時間第一原理シミュレータの開発
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19J11628
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
織茂 悠貴 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 実時間第一原理計算 / 高強度レーザー / 超短光パルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高強度・超高速レーザーパルスに曝された分子内で起こる核‐電子相関ダイナミクスを正確に扱える実時間第一原理計算シミュレータの開発を行い、さらに開発したシミュレーションを用いて高強度レーザー光による解離反応等の分子ダイナミクスの制御に理論的な指針を与えることを目的としている。本年度は、レーザー光によって駆動される分子ダイナミクスの第一原理シミュレータの開発を行った。 核・電子両方の運動を考慮したレーザー場中の分子を第一原理計算で扱うため、多電子系のダイナミクスを正確かつ低コストで計算できる時間依存完全活性空間自己無撞着場法(TD-CASSCF法)と核波束を古典的な点電荷として扱うEhrenfest法を組み合わせた手法を第一原理計算理論として用いた。本研究の計算では、光イオン化を表現するために広い空間を離散化する一方で、核の近傍で局所的に急激に変化する波動関数を精度良く扱う必要がある。そこで計算空間全体を粗いメッシュで覆い、波動関数が急激に変化する領域にのみ細かいメッシュを配置できるアダプティブ有限要素法を離散化手法として採用した。またイオン化し遠方へ広がった波動関数に対する吸収境界条件としてExterior complex scaling(ECS)を実装した。次に開発したシミュレーションから光電子エネルギースペクトルを抽出する手法としてtime-dependent surface flux法を実装した。この方法は波動関数のフラックスからスペクトルを計算する方法なので、吸収境界条件を用いる実時間計算と非常に相性が良い。これを用いてアト秒パルスを照射した水素分子からの光電子エネルギースペクトルの第一原理計算を行った。この結果を遷移行列要素から計算したスペクトルと比較したところ、開発したシミュレータで計算したスペクトルは偏光方向や分子構造を適切に反映していることが確認できた。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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