2019 Fiscal Year Annual Research Report
Improvement of Stress Corrosion Cracking Resistance of Type 304 Stainless Steel by Precipitation of Soluble Carbide
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19J11684
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳田 慎平 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ステンレス鋼 / 応力腐食割れ / 孔食 / 硫化物系介在物 / 鋭敏化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステンレス鋼は、優れた耐食性・機械的特性を併せ持つ重要な耐食材料である。しかし、溶接により粒界でCr欠乏が生じ、耐食性が著しく低下する。そのため、負荷応力下では、孔食を起点に応力腐食割れが粒界に沿って生じることがあり、大きな問題となっている。現状、応力腐食割れを無害化することはできず、腐食科学に残された未踏領域のひとつである。従来の対策技術はMoやCrなどを添加する高合金化や不純物除去であり、昨今の省資源化・省エネルギー化の流れに逆行するものである。本研究では、微量元素添加によって材料組織を制御し、応力腐食割れを無害化することを最終的な目的にしている。その方法として、(1)介在物の弾性係数制御による孔食発生防止と(2)可溶性アルカリ炭化物による粒界の高耐食化に着手する。 本年度は(1)介在物の弾性係数制御による孔食発生防止に着手した。現在までに、応力による孔食発生促進機構の解明および応力腐食割れの成長初期過程の挙動解析が終わっている。鋭敏化ステンレス鋼における孔食発生起点は、応力の有無に関わらず、鋭敏化粒界上のMnS介在物であることがわかった。負荷応力下では、鋭敏化粒界とMnS介在物の溶解が加速された結果、孔食発生が促進されたと考えられる。よって、負荷応力下において、耐孔食性を向上させるには、鋭敏化粒界とMnS介在物の溶解をいかに抑制するかが重要な研究課題となる。そこで、本年度は(1)介在物の弾性係数制御による孔食発生防止に着手した。硫化物系介在物の弾性係数だけでなく、表面酸化皮膜の形成のしやすさに着目した。熱力学的に酸化物が安定な硫化物系介在物は、耐食性に優れていることを見出し、負荷応力下においても耐孔食性に優れた硫化物系介在物の指針を導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、負荷応力下においても耐孔食性に優れた硫化物系介在物の指針を導出した。本研究は、(1)負荷応力下においても孔食起点になりにくい硫化物系介在物の探索、および(2)可溶性炭化物の溶解生成物により、たとえ腐食が発生しても腐食の成長を停止させる技術の開発の二つを行う予定である。 (1) 負荷応力下においても孔食起点になりにくい硫化物系介在物の探索に関しては、順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は(1)介在物の弾性係数制御による孔食発生防止に着手した。硫化物系介在物の弾性係数だけでなく、表面酸化皮膜の形成のしやすさに着目した。熱力学的に酸化物が安定な硫化物系介在物は、耐食性に優れていることを見出し、負荷応力下においても耐孔食性に優れた硫化物系介在物の指針を導出した。今後は、耐孔食性に優れた硫化物系介在物が存在するステンレス鋼を作製し、負荷応力下において、耐孔食性を評価する予定である。また、来年度は可溶性炭化物形成技術の開発も行う。
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Research Products
(4 results)