2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J11773
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
星川 聖良 東北大学, 歯学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 骨芽細胞分化 / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は硬組織再生療法開発に向けて、骨分化および歯の発生に重要なOsterix (Osx)を解析の対象に、間葉系幹細胞からの均一で効率的な骨芽細胞分化誘導法を確立することを目標としている。 はじめにプロテアソーム阻害剤を用いた効率的な骨芽細胞分化誘導条件を検討するため、マウス頭蓋冠由来骨芽前駆細胞株MC3T3E-1をプロテアソーム阻害剤と低濃度BMPで処理し、細胞分化効率を調べた。プロテアソーム阻害剤処理細胞で骨芽細胞分化誘導効果の増強が認められたほか、BMP/プロテアソーム阻害剤同時処理により分化誘導刺激した際のOsxタンパク質の細胞内での相乗的な蓄積が確認された。コントロール細胞と比較してOsx mRNA発現量に差異は認められなかったことから、Osxタンパク質の蓄積は翻訳後修飾によるタンパク質の安定化によることが示唆された。次に、Osxタンパク質分解に関わるE3リガーゼ同定を目的とした解析を行った。免疫沈降法により候補E3リガーゼとOsxの結合が確認出来たほか、Osxを認識する際の結合配列を同定した。さらにウエスタンブロット解析により、E3リガーゼの強制発現がOsxタンパク質のユビキチン化と不安定化を誘導することもあわせて確認した。以上の解析結果から、低濃度BMPとプロテアソーム阻害剤併用による高効率骨芽細胞分化誘導条件が同定され、骨芽細胞分化亢進とOsxタンパク質安定化の関連性が示唆されたほか、Osxタンパク質分解機構の一端を明らかにすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高効率骨芽細胞分化誘導のためのBMP/プロテアソーム阻害剤同時処理の際の最小濃度を同定したほか、Osx タンパク質分解調節機構の解析からOsxアミノ酸配列中の候補E3リガーゼ結合部位を特定することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きOsx分解制御分子機構の解析を継続する。特にOsxはリン酸化による機能修飾を受けることが報告されているが、詳細なメカニズムに関しては不明な点が多いことから、今年度はユビキチン化とリン酸化のクロストークに着目し、リン酸化がOsxタンパク質安定性の調節に及ぼす影響について解析する。また、E3リガーゼにより分解を受けない安定化型Osxを骨芽前駆細胞に導入して野生型Osxとの比較により骨芽細胞分化効率を評価する。さらに、骨形成におけるOsxタンパク質安定性調節機構の生体内での役割を明らかにするため、骨芽細胞でE3リガーゼを欠失させたマウスを作出し解析する。
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