2019 Fiscal Year Annual Research Report
すばる望遠鏡近赤外分光器IRDによる系外惑星探査とキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
19J11805
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石塚 将斗 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 系外惑星 / 分光 / 装置開発 / 惑星大気 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)IRDによる系外惑星探査について 現在、IRDの装置安定性は2m/s、長期的にも3m/s以下を達成している。Ishizuka et al. (2018)で効率はやや下がるが、さらに安定性が増すことがわかった「ダブルスクランブラー」を更に組み合わせた場合についても、試験が進んでいる。本来モードスクランブラーは分光器本体と同じくクーデ室と呼ばれる地下室に置かれているため、安全上の問題で夜間(観測中)はダブルスクランブラーの有無を切り替えることができない。そこで安定性試験のため、外部からダブルファイバスクランブラーの有無を切り替えられる機構を整備した。また、すばる望遠鏡での戦略的観測の開始から約1年が経過し、約10天体についてある程度長期にわたる視線速度測定結果が得られた。その結果、明らかに連星系であるもの、惑星由来らしき変動があるものなど、ターゲットそれぞれの情報がわかってきた。今後は引き続き他のターゲットのデータを集めつつ、惑星が存在しそうな天体についてはさらにデータを集めていく予定である。 (2)系外惑星大気の観測的研究について 本年度はSCExAO+IRD(正式名称:REACH)による観測を実現するための装置開発を行い、共同利用観測が可能になった。REACHによる来期での観測を目指し、すばる望遠鏡に観測提案を提出した。本年度はIRDによる惑星大気の高分散分光観測も予定されていた。しかし、ハワイ島でTMT(新しい大型望遠鏡)の建設再開に反対する現地住民を中心としたデモが発生し、その影響ですばる望遠鏡含むマウナケア山の天文台すべての観測が中止された。そのため、取得予定だったデータは得られなかった。その代替として、すばる望遠鏡の可視高分散分光器HDSのアーカイブデータを用いた系外惑星のキャラクタリゼーションを行った。この研究成果について、現在論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IRDによる系外惑星探査については、装置の安定性試験およびターゲット天体の観測共に概ね順調に進んでいる。ハワイ島のデモによる天文台の閉鎖など、予定どおりデータが取れないこともあったが、大きな問題は起きていない。 SCExAO+IRDについても、スイッチャーのインストールやファイバ敷設などを行い、共同利用観測で使用することができるようになった。観測手順など改善点はあるが、順調に進展した。 系外惑星大気の研究についてはIRDによる観測が中止になったため予定されていた近赤外波長域でのデータは取得できなかったが、すばる望遠鏡の可視高分散分光器HDSのアーカイブデータを使った系外惑星大気の研究成果について論文を執筆中である。予定とはやや異なる形となったが、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
IRDによる系外惑星探査については、本年度も引き続き安定性試験とサーベイ観測を行っていく予定である。新型コロナウイルスの影響によって2020年5月の観測は中止となり、以後の影響は不透明ではあるが、現在のところ大きな研究計画の変更はない。 系外惑星大気の研究については、2019年度から進んでいるHDSのアーカイブデータによる研究成果を論文にまとめる予定である。また、SCExAO+IRDを用いた主星近傍の惑星の高分散分光観測をすばる望遠鏡に提案しており、時間が割り当てられればこの観測的研究も主導する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Evidence for Spin-Orbit Alignment in the TRAPPIST-1 System2020
Author(s)
Hirano Teruyuki, Gaidos Eric, Winn J N., Dai Fei, Fukui Akihiko, Kuzuhara Masayuki, Kotani Takayuki, Tamura Motohide, Hjorth Maria, Albrecht Simon, Huber Daniel, Bolmont Emeline, Harakawa Hiroki, Hodapp Klaus, Ishizuka Masato, Jacobson Shane, Konishi Mihok, Kudo Tomoyuki et al.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 890
Pages: L27~L27
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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