2019 Fiscal Year Annual Research Report
オッセオインテグレーション獲得過程における細胞動態とオステオポンチンの役割
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19J11806
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
真喜志 佐奈子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | オステオポンチン / オッセオインテグレーション / 直接性骨形成 / デンタルインプラント / ハイドロキシアパタイト |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の過去の研究において、骨基質タンパクであるオステオポンチン(OPN)欠損マウスではインプラント表面から生じる直接性骨形成が有意に阻害されるが、既存の損傷を受けた骨から生じる間接性骨形成は、コントロール群と比較しても特に影響を受けないことが明らかになっている。 本研究は、デンタルインプラント植立後の直接性骨形成過程において、骨リモデリング系細胞の増殖・接着・分化・機能発現へのOPNの関与を細胞生物学的ならびに分子生物学的に解明することを目的とする。具体的には、下記の項目を順次明らかにする。 (1)チタン合金インプラント(Smooth implant)植立後の治癒過程とHA/β-TCPインプラント(HA blasted implant)植立後の治癒過程を比較し、オッセオインテグレーション獲得過程におけるハイドロキシアパタイト(HA)の役割を明らかにする。(2)OPN欠損マウスまたは野生型マウスにおけるOPNコーティングHA/β-TCPインプラント植立後のオッセオインテグレーション獲得過程を明らかにし、OPNタンパクならびにペプチド被覆コーティングにより、OPN欠損マウスの治癒過程において有意に阻害される直接性骨形成をレスキューできるのか、また野生型マウスにおける直接性骨形成促進効果の有無を明らかにする。当該年度では、(1)および(2)の実験を行い、オッセオインテグレーション獲得過程において、HAおよびマウスリコンビナントOPNが直接性骨形成促進効果を有することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において実験群として必要な2種類のマウス(野生型とOPN欠損マウス)それぞれを用いて、2種類のインプラント(Smooth implantとHA blasted implant)植立実験を行い、さらにその表面を種々のタンパク/ペプチドコーティング(マウスリコンビナントOPN等)を施し、インプラント植立後のオッセオインテグレーション獲得過程における直接性骨形成率の違いに焦点をあて比較・解析を行い、研究成果を2019年9月に英国にて行われた国際学会にて発表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要における(2)において、OPN欠損マウスでは、OPNが欠如することによってインプラント植立後の治癒過程が有意に阻害されてしまい、OPNタンパクならびにペプチド被覆コーティングによる機能回復は当該年度に行った実験においては一切観察されなかった。したがって、今後はその他のペプチド(OPN mimic peptideなど)コーティングインプラント植立実験は、野生型マウスを用いて行い、各ペプチドのオッセオインテグレーション獲得過程における効果を検証する。
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