2020 Fiscal Year Annual Research Report
民主化後の地方自治の制度設計と政党政治の影響に関する研究:中東欧を中心に
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19J11825
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
須川 忠輝 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 地方自治 / 民主化 / 中央地方関係 / 地方分権 / 中東欧 / 制度設計 / 出先機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、研究期間の延長を申請したため、2020・2021両年度の実績について記す。 2020・2021年度は、国内外の感染状況や渡航制限を理由として、海外での現地調査がかなわず、また国内の研究機関や図書館の利用にも制約が生じた。そのため、当初の研究計画の見直しや研究内容の一部の変更を余儀なくされたものの、2019年度に収集した現地資料やオンライン上のデータベースなどを活用することで、研究課題の遂行を目指した。2020・2021両年度の研究成果は以下の通りである。 第1に、広域自治体の新設に伴う政府間関係の変化に関する分析である。研究対象である中東欧では、2000年前後に、既存の基礎自治体とは別に広域自治体を新設したが、地方政府の重層化に際して、各政府間の関係がどのように設計されるのかを政党政治の動向に着目しながら分析した。本研究では、スロヴァキアの事例から、広域自治体の新設は地方分権の強化にみえるが、実際には中央政府が、重層化される地方政府に移す権限や財源に対する自身の関与を残す形での制度設計を実施したことが明らかになった。第2に、国家行政と地方自治の関係に関する分析を行った。先行研究でも指摘されているが、そもそも中央政府にとって、地方政府への分権を行うことは、自らの権力を弱める好ましくない政策である。それゆえ、中央政府は地方政府への分権ではなく、地方での国家行政活動を担う出先機関の活用を図る可能性がある。スロヴァキアの複数の事例について分析した結果、中央政府の政策決定者は、政策領域を横断して設置される総合型出先機関を通じた行政活動を潜在的に選好することが明らかになった。 以上の研究成果については、日本行政学会や日本比較政治学会などの学会・研究会で発表したほか、研究成果の一部となる論文が『年報政治学』に掲載されることが決定している。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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