2019 Fiscal Year Annual Research Report
Change in subsistence activities of migrants to the Japanese Archipelago in the Upper Paleolithic period: Development of lithic microwear analysis
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19J11882
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 要祐 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 後期旧石器時代 / 細石刃石器群 / 微細痕跡 / 製作痕跡 / 製作技術 / 黒曜石 / 原産地分析 / 北海道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本列島に流入した人類の生業活動の変化を捉えるために、微細痕跡研究に向けていくつかの実験を実施したほか、北海道・新潟県・宮城県・東京都で資料調査を行った。また、当初の計画に追加して遺跡出土黒曜石製石器の原産地分析を行い、あわせて北海道・青森県・秋田県・宮城県で石材調査を実施した。 細石刃の製作実験及び折断実験、両極打法による黒曜石礫の分割実験を実施し、現在分析を行っている。そのほか、凍上現象の再現実験に関しては仙台市内の旧石器時代遺跡から実験に使用する土壌を採取し予備実験を開始するなど、各実験の準備を進めている。北海道白滝服部台遺跡・タチカルシュナイ第Ⅱ・Ⅴ遺跡・吉井沢遺跡・大正3遺跡、新潟県上原E遺跡、宮城県薬莱山No.34遺跡、山形県角二山遺跡出土の後期旧石器時代終末期~縄文時代草創期資料の調査を行い、分析を進めている。タチカルシュナイ第Ⅱ遺跡出土資料については、日本旧石器学会第17回大会にて成果の一部を発表した。 タチカルシュナイ第Ⅱ・Ⅴ遺跡、薬莱山No.34遺跡、角二山遺跡出土の黒曜石製石器について、蛍光X線分析装置を用いた原産地分析を実施した。 2019年4・5月にはウラジオストクに所在する極東連邦大学にて資料調査を行った。沿海州ゴルバトカ3遺跡における細石刃製作技術について日本列島の細石刃製作技術との類似性・相違点を確認し、2019年度東北史学会大会で発表したほか、その一部は共同研究として行った機能研究と合わせて『Bulletin of the Tohoku University Museum』No.19に発表した。 『旧石器考古学』84号では、白滝型細石刃核に認められる製作痕跡、擦痕の特徴を顕微鏡観察から示した。また、細石刃核にみられる製作技術の諸要素と細石刃の形態分析から、擦痕の効果を論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
完了していない実験があるため当初の計画通りに進んでいるとは言えないが、北海道における調査が順調に進んだ。また、補助的に実施した黒曜石原産地分析において重要な成果が得られたことも予期せぬ進展であった。 ただし、2019年度末には新型コロナウイルスの影響により、北海道及び中国における資料調査・研究発表を延期した。その影響もあり、実験結果に対応する出土資料の比較検討が一部遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には日本列島に流入した後の人類の生業活動の様相を捉えるために、本州を中心に資料調査を進める。また、未実施の実験を行うとともに、疫病の影響により延期した中国等での資料調査を実施する。 最終的に、北海道・本州間での調査成果を実験結果と照らして解釈するともに、黒曜石原産地分析の結果を合わせて整理する。
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