2019 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性処理プロセスにおけるファージの多様性解明と宿主探索技術の開発
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19J11931
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倪 嘉苓 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | PMA-PCR / 嫌気性処理 / ファージ多様性 / 生菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では嫌気性処理プロセスの安定性とパフォーマンスを評価するため、嫌気性処理プロセスにおけるファージの多様性解明と宿主探索技術の開発研究を行う。 本年度では嫌気性処理プロセスにおける"生きている"微生物の同定と定量を目指して、qPCRおよびNGSと組み合わせたPMA-PCR方法の確立に関わる研究を行った。更に、嫌気性処理における検出されたファージの多様性解析方法の探索も努めた。嫌気性消化槽における生菌の定量的および定性的分析は、PMA処理の前後の微生物の構造と量の変化を比較することにより行った。定量PCRを用いて微生物中の生菌の絶対量を明らかにした。また、"生きている"微生物メンバーのお互いの関連性を明らかにした。更に、連続運転していた嫌気性膜分離バイオリアクターの処理状況を評価し、微生物の多様性を明らかにした。 嫌気性消化槽における生菌の定量と同定の結果により、1篇の論文を投稿し、国際学会で口頭発表を行いた。リアクターによる長期連続実験の微生物群集構造の新たな結果により、もう2篇の論文を執筆し、これから投稿する予定である。 本研究では、嫌気性処理プロセスにおける生菌を同定と定量するシンプルで効率的な方法の1つとして有用であることを証明した。この方法の確立により好気性微生物の残留DNAによって引き起こされるバイアスは取り除くことができる。将来的に嫌気性サンプルに限らず、複雑な環境サンプルで"生きている"微生物群集をこの方法で解析し、環境微生物工学の発展に寄与するものと評価できる。更に、続いてのファージ多様性の解析及び宿主探索に対して基礎を築いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は実稼働の嫌気性処理プロセスにおける原核生物とファージ多様性の解析を行うつもりであった。 まずstep1は計画通り16S rRNA遺伝 子のアプリコンシーケンシングで実稼働の嫌気性処理プロセスにおける微生物の群集構造を解析した。更に、本研究は計画以上進展したこともあった。ただの微生物群集構造解析だけじゃなく、同じプライマーセットを使用してqPCRおよびNGSと組み合わせたPMA-PCR法が嫌気性処理プロセスにおける生菌を同定と定量するシンプルで効率的な方法の1つとして有用であることを証明した。この部分の内容は1篇の論文を投稿した。 しかし、step2ファージ多様性の解析の段階問題があった。実験が少し順調ではなく、今、実験条件を調整中である。実験条件の探索と共に、ファージのメタゲノムデータの解析手法の確立を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずはファージ多様性解析実験条件を確立する。今まであった問題点を解決して、もう一度メタゲノム解析を行う。そして、得られたデータの解析を引き続き行う。また宿主探索技術の開発を行う。汚泥サンプルから幾つかの特異的な宿主を分離し、サンプルから回収したファージをその宿主に感染させて、宿主との関係を明らかにする。分離したファージについて、メタゲノム解析を行い、遺伝情報を獲得する。最終的には処理プロセス中における宿主とファージの関連性を明らかにする。ファージ多様性及び機能の情報を収集するため、国際会議に参加して、自分の成果を発表する。研究結果をまとめて、学術雑誌に投稿する。
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Research Products
(4 results)