2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J11935
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
陣内 和哉 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 有機蓄光 / 光化学 / 有機フォトレドックス触媒 / 電荷分離・電荷再結合 / 有機半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
新コンセプト有機蓄光材料を開発し、電荷蓄積量増加による発光持続時間改善を達成した。従来の有機蓄光材料は電子ドナー材料を電子アクセプター材料中に分散しており、電子の拡散によって電荷分離状態を安定化するn型有機蓄光材料であった。私はカチオン性有機フォトレドックス触媒をアクセプターとしてドナー中に分散することで、ホール拡散によって電荷分離状態を安定化するp型有機蓄光システムを実現した。これにより、大気安定、可視光駆動可能な有機蓄光材料が実現した。加えて、ホールトラップ材料を添加することで、過去最長の3時間もの発光持続時間を達成した。 電子は酸素によって失活されるため、n型有機蓄光材料は不活性気体中か真空中でのみ蓄光を示した。一方、ホールは酸素による失活を受けにくい。本研究では酸素の還元電位よりも深いLUMO準位を有するアクセプター材料を利用することで、大気下での蓄光観測を実現した。 従来の有機蓄光材料は構成材料が紫外領域にのみ吸収を有しており、可視光での励起が困難であった。本研究で採用した有機フォトレドックス触媒は可視領域に吸収を有しているため、紫外から赤色までの光によって励起が可能であり、蓄光を観測することができた。 P型有機蓄光材料の電荷分離状態安定化のためにホールトラップ材料を添加したところ、発光持続時間が約6倍向上し、3時間近い発光持続時間を実現した。光励起後の蓄光膜の吸収スペクトルを測定すると、添加材料のラジカルカチオン吸収が観測され、ホールトラップが証明された。また、発光減衰の温度依存性を測定すると、高温ほどホールの脱トラップが促進されるため、発光強度が強くなった。以上より、ホールトラップによる発光持続時間改善が証明された。 本研究は有機蓄光材料の選択肢を広げるだけでなく、有機半導体デバイスの材料設計に新たな指針を与えると期待される。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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