2019 Fiscal Year Annual Research Report
Observational study of Gamma-Ray Burst by the Large-Sized Telescope of the Cherenkov Telescope Array
Project/Area Number |
19J11940
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野崎 誠也 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | ガンマ線 / ガンマ線バースト / チェレンコフ望遠鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
CTA大口径望遠鏡でのガンマ線バースト検出に向けて、スペイン・ラパルマ現地での焦点面カメラ較正試験、CTA大口径望遠鏡データのキャリブレーションソフトウェアの開発、CTA大口径望遠鏡によるかに星雲観測データの解析を行った。 現地での試験では、滞在時にはじめて較正用レーザーが望遠鏡に取り付けられたため、このレーザーに対する焦点面カメラの応答がカメラ内で一様になるように、光電子増倍管に印可する高圧を調整した。データ取得・解析・高圧調整を何度か繰り返し、その結果、ピクセル間のゲインのばらつきを2%まで抑えることに成功した。 キャリブレーションソフトウェアの開発についてはグループ内で分担し、私は特に、信号波形サンプリングASICの特性を踏まえた電圧補正に関する解析を担当した。この解析を踏まえて、焦点面カメラのノイズレベルのスタディを行い、回路由来のノイズ成分が0.2光電子相当、夜光由来のノイズ成分が0.96光電子相当であることがわかった。 そして、かに星雲のデータ解析に向けた解析ソフトの開発を行った。望遠鏡一台でもよりよい結果を求められるように、天体の位置を既知として解析するソフト開発を主導している。2019年11月には、シフトリーダーとして望遠鏡のオペレーションに現地参加し、超高エネルギーガンマ線の標準光源であるかに星雲のCTA大口径望遠鏡での初観測を主導した。この観測データを自ら解析し、CTA大口径望遠鏡でのガンマ線信号の検出を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度計画は、CTA大口径望遠鏡焦点面カメラ較正試験、MAGIC望遠鏡とのかに星雲の合同観測・解析、CTA大口径望遠鏡でのガンマ線バースト観測であった。カメラ較正試験については順調に進み、望遠鏡の性能評価まで行うことができた。MAGIC望遠鏡とのかに星雲合同観測・解析についても、同時刻にCTA大口径望遠鏡とMAGICでかに星雲を観測することを定常的に行うことができている。現在は、合同解析に向けて、まずはそれぞれの望遠鏡データのみを使って解析を行っているところで、ガンマ線信号の検出には成功している。 一方、ガンマ線バースト観測については、人工衛星からのアラートを受けてポインティングするためのシステムがまだインストールされていない。このため、本年度中にCTA大口径望遠鏡でのガンマ線バースト観測そのものを行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、CTA大口径望遠鏡でのかに星雲観測データの解析を継続し、MAGICをはじめとするほかの望遠鏡で得られている結果と無矛盾であるかを確認することで、望遠鏡として正常に動作しているかを確認する。その上で、MAGICと合同観測したデータについて、それぞれのデータを合同解析することで、より解析性能を向上させる。そして、CTA大口径望遠鏡でのガンマ線バースト観測については、望遠鏡ドライブ担当のチームと連携を取りながら、アラートを受けて即座にポインティングを開始する環境を構築する。この環境さえ整えば、1か月に数回、ガンマ線バーストを観測することができるようになり、これまでに性能を向上させてきた解析も駆使して、ガンマ線バーストのCTA大口径望遠鏡での検出を目指す。
|
Research Products
(5 results)