2019 Fiscal Year Annual Research Report
ネムリユスリカの乾燥無代謝休眠を司る新規転写因子の同定
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19J12030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
徳本 翔子 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 乾燥耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題で行う予定のSTARR-seqに用いるレポーターベクターを作成するため、ネムリユスリカ培養細胞(Pv11)で働くプロモーターおよび最小プロモーターの単離を行なった。まず、ネムリユスリカのゲノム情報およびトランスクリプトームデータから、Pv11細胞で恒常的に発現の高い遺伝子(Pv.00443)を選び出し、そのプロモーターと想定される領域を抽出した。デリーションアッセイの結果から、プロモーター領域を決定し、121プロモーターと命名した。121プロモーターはネムリユスリカ以外の昆虫細胞でもIE2と同程度の強い活性を示した。 さらに、121プロモーターをデリーションして、202bpおよび266bpのフラグメントを最小プロモーターの候補とした。それぞれのフラグメントにTet OperatorおよびLuciferaseを連結させたレポーターベクターを作成した。このレポーターベクターとrtTAの発現ベクターをPv11細胞へco-transfectionし、どちらのフラグメントがTet-On systemに適しているかを検討した。その結果、202bpが最小プロモーターとして適していることがわかった。これらの研究成果を得る過程で、Pv11細胞では哺乳類細胞で用いられるCMVプロモーターや、昆虫細胞で用いられているIE2プロモーターが全く使用できないことがわかった。つまり、Pv11細胞で他の既存のプロモーターを使用することは困難であり、ネムリユスリカのゲノムから単離したものでなければ使用できないと考えられる。 以上の結果から、Pv11細胞で働く121プロモーターおよび最小プロモーターの同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネムリユスリカ培養細胞(Pv11細胞)で働く恒常活性プロモーターおよび最小プロモーターの単離に成功している。本研究課題で行う予定のSTARR-seqに用いるレポーターベクターの作成に必要な材料が揃った。おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Pv11細胞において、乾燥処理過程で発現が上昇することがわかっている、Heat Shock Factor(Hsf)を用いて、レポーターベクターを一過的に導入する実験系でレポーターアッセイが行えるかを検討する。転写因子であるHsfはHeat Shock Element(HSE)に結合し、転写制御をすることがわかっている。そこで、HSEとルシフェラーゼを組み込んだレポーターベクターを作成し、Pv11細胞へトランスフェクション後、乾燥処理を行う。ルシフェラーゼアッセイを行い、乾燥処理によってルシフェラーゼ活性が上昇するかを確認する。この実験で良い結果が得られれば、STARR-seq用のレポーターベクター群の作成を開始し、データ取得を行う。
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Research Products
(6 results)