2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J12154
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田澤 俊介 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 水素結合 / 医療材料 / 熱成形性 / 抗血栓性 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素結合の導入により常温で固形化したポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)の熱成形性や生体適合性を評価した.具体的には,(a)熱物性と力学物性,および(b)心筋梗塞などの原因として知られる血栓の形成しにくさを示す抗血栓性の評価を実施した. (a)に関しては,動的粘弾性試験(DMA)を用いて熱物性および力学物性を評価した.水素結合を導入しなかったPMEAは,常温領域において常に液状であった一方,水素結合導入後は,最高で73 ℃以上の温度領域でのみ液状となった.この結果より,水素結合を導入したPMEAは,常温では固体でありつつも,高温下での熱成形が可能であることが示された.また,力学物性の指標として25 ℃付近の貯蔵弾性率(G’)を比較した.その結果,水素結合を導入しなかったPMEAのG’が2.5 kPaであったのに対し,水素結合を導入したPMEAのG’は最大で230 kPaとなり約90倍向上していた. (b)については,血栓の成分として知られている血小板の付着数を,水素結合を導入した固形PMEAと既存の抗血栓性材料の間で比較した.既存の抗血栓性材料として知られているフッ素含有ダイヤモンドライクカーボンへの血小板の付着数は73個であった.一方で,水素結合を導入した固形 PMEAに対する血小板の付着数は17個であった.以上より,本研究で合成した水素結合を導入した固形PMEAは従来の抗血栓性材料と同等の抗血栓性を有していることが明らかになった. 以上より,水素結合を導入した固形PMEAが熱成形性および高い抗血栓性を有していることが示された.この結果は,従来常温にて液状で不安定で用途が限定されていたPMEAに対し,従来の抗血栓性を維持しつつ,常温領域において形状安定かつ成形可能にし,用途拡大の可能性を示した点で大きな意義があると考える.
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)