2020 Fiscal Year Annual Research Report
The neural mechanism of odor representation in dopaminergic neurons depending on internal state
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19J12156
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 郁佳 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 報酬系 / 嗅覚 / ドーパミン / ショウジョウバエ / 味覚 / カルシウムイメージング / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではショウジョウバエをモデルとしてドーパミン細胞による生得的な匂いの価値表現を支える神経機構の研究を行ってきた。昨年度までに、主に報酬や罰を表現して学習に関係すると考えられていたドーパミン細胞が匂いの生得的な価値を表現することを明らかにした。今年度はこの発見を基に、ドーパミン細胞における複数の感覚刺激の価値統合とドーパミン細胞の匂い応答の可塑性への貢献という2つの問いに取り組んだ。 まず、匂いの価値をコードしているという我々の発見と、ドーパミン細胞が甘味や苦み物質に反応するという先行研究を合わせて考えると、匂いの価値と味の価値が同じ細胞で表現され相互に影響し合う可能性がある。しかしどのように複数の感覚刺激の価値情報が統合されているのかは未知であった。異なる感覚の価値の統合について調べるために、匂いと味をそれぞれ正確なタイミングで与えることができる装置を開発し、好きな匂いと嫌いな匂い、そして甘味と苦味を組み合わせて、ドーパミン細胞で複数の感覚刺激の価値情報が統合される様子を記録することができた。 また、先行研究から、嗅覚古典的条件付けでは嗅覚経路とドーパミン経路がそれぞれ匂いと報酬によって同時に刺激されることで、シナプス可塑性が誘導されることがわかっていた。しかし、我々の研究により匂いだけで両方の経路が同時に活性化することがわかったため、動物が匂い空間を探索するだけで、下流の細胞や行動の適応的変化が誘発される可能性がある。そこで、匂いによって活性化されたドーパミン細胞の活動が、下流の細胞であるキノコ体出力細胞の活動を変化させるのではないかと仮説を立て実験を行った。その結果、複数のキノコ体出力細胞で匂いの生得的価値に応じて可塑的変化が起こることを発見した。 本研究を通じて明らかになったドーパミン細胞による生得的な匂いの価値表現を支える神経機構について論文を出版予定である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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