2020 Fiscal Year Annual Research Report
〈炭鉱生活圏の文学〉に関する研究-戦後の炭鉱住宅を事例に-
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19J12515
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 華子 名古屋大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 炭鉱 / 鉱山 / 炭鉱文学 / 引揚げ / 炭鉱労働者 / 外地 / 環境批評 / 手記 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、コロナウイルスの影響により広範囲かつ長期間の資料調査が困難となったことから、計画を一部変更し、次のような研究活動を行なった。 第一に、上野英信、森崎和江、李恢成という作家らの引揚げ経験と、1970年前後の炭鉱や炭鉱労働者らに対する着目との関連を考察するため、森崎和江と親交のある書店の協力により、自筆の修正のある刊本を入手した。その上で、森崎が鉱山へ移住した際に出会った詩人丸山豊の外地での戦争体験を自身の引揚げ経験と接続し、中国人兵士の死を想起することの分析を行なった。これに関しては、“Transboundary Memories: A Critical Analysis of Images of the Water Cycle in Morisaki Kazue’s “A Drawing of Water””(GRADUATE CONFERENCE IN JAPANESE STUDIES 2020、2020年12月20日)で、英語による口頭発表を行い、国内外の引揚げ文学研究者から多くの示唆を得ることに繋がった。 第二に、「A 作家による炭鉱外部からの視線」、「B 炭鉱労働者とその家族による文芸作品や手記」、「C 自身の引揚げ経験と同時に、炭鉱労働者の聞き書きを残そうとした作家」という炭鉱作品群の相互関係について考察した。炭鉱労働者らによる表現は、作家による視線を時に内面化・相対化しつつ作り上げられている。三者の交渉関係に関する分析は、“The Study of Coal Mine Representation on Modern Japanese Literature”(12th Historians’ Workshop Research Showcase、2021年2月18日)にて英語による口頭発表を行い、歴史学、経済学の研究者の方々から有用な示唆を得た。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)