2019 Fiscal Year Annual Research Report
前例のない構造様式と作用機序を持つ抗生物質アミコラマイシンの全合成と構造活性相関
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19J12756
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
目黒 康洋 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | amycolamicin / 抗生物質 / 天然物化学 / 有機合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,強力な抗菌活性と前例のない特異なハイブリッド型化学構造を有し,新しいカテゴリーの抗菌薬開発の起点となり得る天然物amycolamicin(AMM)について,初の全合成と構造活性相関研究を実施した。合成戦略は5つの環構造から構成されるAMMを3つのユニットに分割して合成し、最後に連結することで分子全体を組み上げる収束的合成法を選択した。まず、細胞毒性が報告されているAMMの部分構造であるDEユニットの合成に着手した。D-乳酸メチルを出発原料として、HWE反応による増炭反応とSharpless不斉エポキシ化による酸素官能基の導入を含む数工程の変換によって2,3-アルコキシケトン中間体を合成した。ケトン部分に対して、ビニルリチウム誘導体を作用させることで四級不斉中心を高ジアステレオ選択的に構築し、単一立体異性体として生成物を得た。最後に保護基の除去により、DEユニットの合成を完了した。また、DEユニットの合成中間体からメチルグリコシル化により、同様に細胞毒性を有するDEユニットの2種のメチルグリコシド体の合成にも成功した。Cユニットの合成は、2,3-ジブロモプロペンからHWE反応とHeck反応を行った後、分子内Diels-Alder反応によってトランスデカリン骨格を構築することで、短工程での合成を達成した。Aユニットにおいては、L-フコースからヒドロキシ基の立体反転と保護基の調製により合成を完了した。現在、AMMの3つの部分ユニットの合成を完了しており、各ユニットの連結を行うことでAMMの世界初の全合成が達成できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにAmycolamicinのA,C及びDEユニットの合成を完了し、残り数工程の変換によりAmycolamicinの全合成を達成できると想定している。
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Strategy for Future Research Activity |
Amycolamicinの全合成に向けて、テトラミン酸部分(Bユニット)の構築とA-Eユニットの連結を検討する。CDEユニットは定評のあるシュミットグリコシル化により合成する。N-アシル化によりA及びCDEユニットを連結した後、塩基を用いたBユニットの形成を試みる。最後に保護基の調製を行うことでAmycolamicinの全合成を達成する予定である。
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Research Products
(6 results)