2019 Fiscal Year Annual Research Report
官能基化された多重結合間における新反応の開発とそれを用いたヘテロ環合成
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19J12777
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大野 祥平 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ヘテロ環合成 / 環化異性化反応 / 環化付加反応 / 遷移金属触媒反応 / 熱反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘテロ原子によって官能基化された不飽和結合間における、貴金属触媒や卑金属触媒、光・熱との反応を検討した。その結果、二つの新規環化反応を見出すことが出来た。 一つ目の反応は、「ニッケル触媒によるβ-オキシアクリル酸エステルとシリルアルキン間における転位を伴う環化異性化反応(炭素―酸素結合切断-形成反応)」である(Org. Lett. 2019, 21, 8400.)。炭素―酸素結合の切断反応は、近年新しい変換反応として注目を集めてはいるが、これまでに報告された反応は、アリールエーテルやアリールエステルを用いたものがほとんどであった。このような背景に対し、申請者の開発した反応は、先例のないβ-オキシアクリル酸エステルの炭素―酸素結合切断を経由するという点で特徴がある。また、シリル基とアクリル酸エステルを置換基として有するベンゾフランが生成物として得られ、さらに生成物は、檜山クロスカップリングやヒドリド還元などの各種化学変換が可能であった。反応のメカニズムについては、計画に記載した通り、計算化学者との共同研究によって明らかにした。 二つ目の反応は、「アリールアレニルエーテルとシリルアルキン間における熱的[2+2]環化付加-水の求核付加ワンポット反応」である(Green. Chem. 2020, 22, 1220.)。本反応では、シリル基とホルミル基を有するシクロブテン(アリールシクロブテナール)が生成物として得られる。アリールシクロブテナールは、多置換シクロブタン骨格の天然物を合成する際の鍵中間体として利用できる可能性が有るが、その合成法は遷移金属を用いる一例のみであった。その合成法と比べて申請者の開発した合成法は、遷移金属などの有毒な反応剤を必要とせず、熱と水のみで進行するという環境調和的利点がある。さらに生成物は、Wittig反応や酸化反応などの各種化学変換が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は、計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
多重結合間における新規反応の検討を続ける。また応用研究へと展開する。
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Research Products
(5 results)