2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structural and functional analysis of the active state of the prostaglandin receptor
Project/Area Number |
19J12880
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野島 慎五 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 膜タンパク質 / GPCR / プロスタグランジン / X線結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡 / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずEP4とmini-Gsとの複合体形成を確認し、十分な収量の複合体を精製した。この複合体をX線結晶構造解析用のサンプルとして使用することにした。さらに、Gタンパク質3量体の残りのサブユニットであるGβとGγ、mini-Gsの抗体をそれぞれ発現・精製し、EP・mini-Gs複合体と結合させて更に巨大なEP4・miniGsβγ・抗体複合体を作製しCryo-EMの測定用サンプルとした。 EP4・miniGs複合体について、膜タンパク質で実績のあるLCP法およびGPCR-miniG複合体の構造解析で成功例のある蒸気拡散法の2つの手法で結晶化を行い、結晶化条件のスクリーニングを行った。両手法合わせて1920条件で結晶化したところ、その中の8条件で結晶が現れた。この結晶を大型放射光施設であるSpring-8にてX線照射実験を行ったところ9オングストロームのタンパク質由来の回折点が検出された。 EP4・miniGsβγ・抗体複合体については、まずネガティブ染色法による透過性電子顕微鏡の観察で複合体粒子の単分散性を確認した。次に理化学研究所放射光科学研究センターにある加速電圧200 kVのCryo-EMを利用して、複合体をのせたグリッドの凍結条件をスクリーニングし最適な条件を決定した。この条件のグリッドから、同じCryo-EMで1467枚の電子顕微鏡像を収集し解析したところ、6.4オングストロームの3Dモデルを構築することができた。十分に質の良いグリッドの凍結条件が決定できたので、次に東京大学にある加速電圧300 kVのCryo-EMを利用して5734枚の電子顕微鏡像を収集した。現在はこのデータを解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和1年度は計画通りEP4とGタンパク質の複合体の構造についてX線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡単粒子解析の両方の手法で構造決定を試みた。X線結晶構造解析についてはEP4とmini-Gsの複合体の結晶化を蒸気拡散法・LCP法の2通りの結晶化法で結晶化条件のスクリーニングを行い、タンパク質由来の結晶が現れたことをX線回折実験にて確認したものの、構造決定に十分な分解能には至っていない。クライオ電子顕微鏡単粒子解析では、当初解析予定であったEP4-miniGs-miniGs抗体の複合体にさらにGβγを加えてGタンパク質のサイズを大きくすることで、単粒子解析をより行いやすい複合体を調製した。この複合体についてまずネガティブ染色法による電子顕微鏡の観察で複合体粒子が均一に分散していることを確認し、次にクライオ電子顕微鏡を利用して構造解析に適した電子顕微鏡像を収集できるような凍結グリッドの作製条件を検討した。検討の結果、スクリーニング用の電子顕微鏡像データから6.4オングストロームの3Dモデルを構築することに成功した。高分解能の構造決定を行うために、先程の条件のグリッドをより高性能なクライオ電子顕微鏡で撮影し、構造解析を進めている。 申請時点の計画では1年次にEP4の高分解能の構造を決定する予定であったが、解析が完了していないため、期待ほどではないがある程度の進展はあったと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度得られた収集データおよび必要に応じて収集したさらなるデータを元に、高分解能のEP4・miniGsβγ・抗体複合体の立体構造を決定する。その後は申請書の計画通り、決定した構造の情報からアゴニストとの結合残基やGタンパク質との結合残基を特定し、変異体実験によって生化学的にEP4の活性化メカニズムを明らかにする予定である。
|