• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Annual Research Report

飼育実験と形態解析による放散虫の機能形態学的研究

Research Project

Project/Area Number 19J12919
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

一戸 凌  東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2019-04-25 – 2021-03-31
Keywords形態 / 適応 / 仮足 / 飼育 / 行動解析
Outline of Annual Research Achievements

本研究は現生放散虫の形態的多様性を流体力学的視点から説明し,その進化・多様化の原動力を議論することを目的としている.本年度は,代表的な形態型である球形・平板形(スプメラリア目)・円錐形(ナセラリア目)の流体力学的特性の解明を目的とした飼育実験,各形態型の季節出現傾向の解明を目的とした各月継続採集の2点を行った.
先行研究の平板形種の飼育実験から,放散虫の仮足は流体から抗力を得る機能を持ち,姿勢制御にも重大な役割を果たすとされる.今年度は平板形種に加え,殻・仮足のいずれも強い形態的方向性のある円錐形種の仮足伸長個体の行動解析を行った.結果,すべての個体は仮足を伸長時のみ流れに乗り移動した.中でも円錐形種は,円錐底面に相当する開口部を下流側に向け,採餌機構でもある長い仮足を下流方向に伸ばす特徴的な姿勢で安定した.この結果は,単純な円錐形殻を持つEucyrtidium属が,殻形態の流体力学的特性により姿勢を制御し,採餌機構でもある仮足に採餌対象を効率よく接触させるとした先行研究と調和的である.一方で同じ円錐形種でも殻にアームと呼ばれる構造を持ち仮足構造も異なるPterocanium属は姿勢のばらつきが大きく,円錐形種内における摂餌様式の多様性が示唆された.
相模湾真鶴半島沖における各月継続採集(鉛直曳き,0-100m)では,一年を通し放散虫が出現した.個体数は4月から9月は数個体と減少し,11月から3月にかけて数十個体へと増加した.また,平板形種は9月から翌年の3月まで常に出現した一方で,円錐形種は11月から2月までの出現にとどまった.中でもEucyrtidium属はPterocanium属と比較して出現期間が短く,個体数も少なかった.これら結果は,円錐形ナセラリア目類内部での流体力学的特性の差異を明らかにするとともに,その季節を通した出現情報を伴う初めての結果となった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度の目標としていた形態型ごとの流体力学的特性の検討では,特に円錐形種について同形態型内部での多様性を示すデータを得ており,投稿に向け論文作成中である.また,継続的サンプリングに基づく季節性の解明も放散虫としては初めての手法であり,データの集計が終わり次第投稿に向け準備を進める予定である.一方,研究立案段階で予定していたインド洋で採集された標本を用いた赤道域における空間分布の解明については,化学処理は終了しており,同定作業が進行中である.同様の仮足固定標本の作製については,従来予定していた手法では十分な成果が得られておらず,異なる手法を検討している.以上のことから,おおむね順調に進行していると判断した.

Strategy for Future Research Activity

すでに撮影済みの飼育実験のデータを用い,重要度の高い種から行動解析を行う.十分な成果を得ることができていない仮足伸長状態での個体固定法の開発については,引き続き先行研究を参考とした固定法の検討と並行して,高解像度での撮影および画像解析に基づく異なるアプローチでの目標達成を目指す.これに加えて,インド洋標本の計数作業を継続し,赤道域における空間分布の解明を試みる.これらの流体力学的特性,分布,仮足構造のデータセットを可能な限り多様な種で完成させ,放散虫の形態的多様性について議論を行う.

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Active Floating with Buoyancy of Pseudopodia Versus Passive Floating by Hydrodynamic Drag Force: A Case Study of the Flat-Shaped Spumellarian Radiolarian Dictyocoryne2019

    • Author(s)
      Ryo Ichinohe, Yuta Shiino, Toshiyuki Kurihara, Naoko Kishimoto
    • Journal Title

      Paleontological Research

      Volume: 23 Pages: 236-244

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 円錐形放散虫ナセラリア類の仮足による姿勢制御と生態2019

    • Author(s)
      一戸凌・椎野勇太・栗原敏之・津田敦
    • Organizer
      2019年日本ベントス学会・プランクトン学会合同大会

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi