2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19J12973
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 健人 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 衝撃波 / 乱流 / 圧縮性 / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
衝撃波と乱流が干渉する数値計算を行って,干渉によって引き起こされる衝撃波面の変形に関して解析を行った.本研究の計算においては,計算領域内に衝撃波と局所的な乱流領域を配置することで,衝撃波は計算領域内を伝播し,層流から乱流領域へ入射し,乱流と干渉した後に脱出し,再び層流中を伝播する.このような配置を用いることで,衝撃波が乱流に入射し,特性が変わり始める過程や乱流を脱出した後の挙動などを再現することが可能である.工学的な問題への応用を考えた場合に,例えばソニックブーム問題における衝撃波は大気中に間欠的に存在する乱流領域への入射と脱出を繰り返しながら地上へと到達するので,本研究のような配置はその過程を再現できるという意味で実現象への応用が可能であるといえる.解析は衝撃波面の位置を検出し,その平均と,変動の強さについて調査した.その結果,衝撃波の変形は乱流中をある程度伝播すると定常になることがわかった.これは衝撃波乱流干渉における衝撃波の状態を考えるうえで,衝撃波の強度を表す衝撃波マッハ数と乱流の強度を表す乱流マッハ数と乱流レイノルズ数といった無次元パラメータだけでなく,衝撃波が乱流中を伝播する距離も重要であるということを示している.また,変形と衝撃波の局所的な特性について調査することで,衝撃波面の変形と特性の関係性について調査した.衝撃波による圧縮の強さを表す速度ベクトルの発散と衝撃波位置の変動の結合確率密度関数によると衝撃波が進行方向に変形しているときは圧縮が弱くなり.逆に変形しているときは圧縮が強くなることがわかった.また,位置の変動の正負で条件付けした平均の圧力分布の計算結果から,圧縮の強さの変化に伴って衝撃波背後の圧力が変化することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数値計算のコードの改良に予定していたよりも,多くの時間を要してしまったことが最も大きな要因である.シンガポールにて行われたISSW32という学会において聴講した発表の中に衝撃波を扱う数値計算についての発表があり,そこで説明されていた手法の中に計算の安定性を向上させるものがあった.それが自分のコードに未実装であったので,実装を試みたが逆に計算が発散してしまい,計算が動かないということが4か月ほど続いた.数値計算手法について初めから勉強しなおしたり,論文調査を行ったが,結局,原因はわからず,未実装のまま計算を行い解析を行った.もともと計算自体は可能であったこととそれほど数値振動が問題ではなかったことを考えると,時間を使いすぎたと思っている.
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Strategy for Future Research Activity |
衝撃波の変形に関して解析を行った結果がまとまったので,次は衝撃波が崩壊する条件に関して研究するというのが考えられる.衝撃波の崩壊は先行研究によって,予測がされているが,その条件などは未解明のままで,議論が続いている.衝撃波が崩壊した箇所においては衝撃波特有の物理量の不連続性が失われるため,ソニックブームを引き起こす急激な圧力の増加を回避できる可能性がある.このような衝撃波の変形や崩壊を引き起こす原因についての調査も必要である.乱流の条件によっては速度変動,密度変動や圧力変動が存在し,それらの変動のうちどれが主に衝撃波の変形を引き起こすのかを解明できれば,衝撃波の変形・崩壊をソニックブーム問題などの工学的な課題への解決策へ応用可能か否か検討することができるようになる.
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Research Products
(3 results)