2019 Fiscal Year Annual Research Report
環動高分子を用いた柔軟・高熱伝導性複合材料タフコンポジットの創出
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19J13044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 拓 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 環動高分子 / 水中プラズマ改質 / 複合材料 / 柔軟高熱伝導材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては(A)異方性無機粒子(フィラー)配向による熱伝導パスの形成を通じた高熱伝導化を遂行することを予定していた。異方性をもつカーボンナノファイバー(CNF)をプラズマ改質、ならびに電界により放熱方向に配向させることによって、熱伝導パスを形成し、加えて、CNF/SR間の界面熱抵抗を低減するために、カーボンナノチューブ(CNT)を少量添加することでCNF-CNT-CNFの熱伝導パスを形成し、目標としていた熱伝導率10W/mK以上、ヤング率100MPa付近の柔軟・高熱伝導性材料の創出に成功した。また、本成果は国際誌(Composite Science and Technology)において論文発表、ならびに産業技術総合研究所においてプレスリリースされた。 加えて、(B)可動架橋点を有する複合材料と固定架橋点を有する複合材料の比較研究を行い、可動架橋点が機械特性に与える効果の評価も並行して行った。複合材料におけるフィラーの均一分散、ならびに可動架橋構造に由来した均一変形による複合材料の強靭化を確認しており、部分的ではあるが可動架橋点による強靭化のメカニズムを解明した。加えて、架橋率を下げ可動架橋点の可動性が上昇するにつれ、より均一変形に近い変形挙動を示し強靭化するという結果を得た。本成果は現在論文執筆中である。 また、次年度に予定していた(C)配向窒化ホウ素ナノシート(BNNS)を用いた光透過高熱伝導タフコンポジットの開発のために、(C-1)超音波援用循環型フローアクアプラズマによる高効率・高純度窒化ホウ素ナノシート(BNNS)の作製のための、キャビテーションバブル援用プラズマによるBN剥離装置の環境を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては異方性無機粒子(フィラー)配向による熱伝導パスの形成を通じた高熱伝導化を遂行することを予定していた。異方性をもつカーボンナノファイバー(CNF)をプラズマ改質、ならびに電界により放熱方向に配向し、CNF/SR間の界面熱抵抗を低減するために、カーボンナノチューブ(CNT)を少量添加することでCNF-CNT-CNFの熱伝導パスを形成することで、目標としていた熱伝導率10W/mK以上、ヤング率100MPa付近の柔軟・高熱伝導性材料の創出に成功している。加えて、可動架橋点を有する複合材料と固定架橋点を有する複合材料の比較研究を行い、可動架橋点が機械特性に与える効果の評価も並行して行った。複合材料におけるフィラーの均一分散、ならびに可動架橋構造に由来した均一変形による複合材料の強靭化を確認しており、部分的ではあるが可動架橋点による複合材料の強靭化のメカニズムを解明した。また、次年度の超音波援用循環型フローアクアプラズマによる高効率・高純度窒化ホウ素ナノシート(BNNS)の作製のための、キャビテーションバブル援用プラズマによるBN剥離実験の環境を構築、ならびにフリーズキャストによるBN配向を可能とした。 以上より、本年度においては期待通り研究が遂行したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に予定していた(C)配向窒化ホウ素ナノシート(BNNS)を用いた光透過高熱伝導タフコンポジットの開発のために、(C-2)BNの電界による垂直配向を試みたが、誘電体であるBNにおいては導電体であるCNF/CNTの場合と比べ、十倍近くの電界強度が必要であることがわかった。そのため、予定を変更してフリーズキャストを用いた自己組織化によるBNの配向を行い、複合材料膜厚方向に熱伝導パスが形成されていることを確認した。次年度に置いては継続して(C-1)超音波援用循環型フローアクアプラズマによる高効率・高純度窒化ホウ素ナノシート(BNNS)の作製と同時に、(C-2) フリーズキャストを用いた自己組織化によるBNの配向を行うことで、目標とする光透過高熱伝導タフコンポジットの開発を目指す。
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Research Products
(5 results)