2019 Fiscal Year Annual Research Report
光依存性ホスホジエステラーゼの酵素活性制御機構に関する構造的基盤の解明
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19J13316
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
生田 達也 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ロドプシン / Rh-PDE |
Outline of Annual Research Achievements |
Rh-PDEは光依存性のホスホジエステラーゼであり、光を受容すると環状ヌクレオチドであるcAMPやcGMPを加水分解する。その性質から光遺伝学での応用が期待されているが、実際の応用には構成的活性が高いという問題がある。このRh-PDEの光依存性を解明し構成的活性を抑えることを目的として、Rh-PDEの立体構造の解析を行った。Rh-PDEはN末端側の膜貫通ドメインとC末端側の酵素ドメイン、それらを繋ぐリンカーから構成される。全長構造の決定を試みたが困難であったため、まずRh-PDEの膜貫通ドメインの構造解析を行い、2.6Å分解能での構造決定に成功した。全長構造をモデルするために、膜貫通ドメインにリンカー領域を加えた構造と、酵素ドメインにリンカー領域を加えた構造についても構造解析を行い、それぞれ3.5Åと2.1Å分解能での構造決定に成功した。リンカー領域の全体構造を決定できなかったため、リンカー領域を計算機を用いてモデリングを行った。また、Rh-PDEを高速AFMで観察した。これらの実験的に決定した3つの構造と計算機で構築したモデル、高速AFMで観察した像を踏まえ、Rh-PDEの全長構造モデルを提唱した。 Rh-PDEは微生物型ロドプシンとして初めての8回膜貫通のロドプシンであった。一本多い膜貫通ヘリックスはN末端側に存在していた。この余分な膜貫通ヘリックスの役割を解明するために、余分な膜貫通ヘリックスを欠失させた変異体の活性測定を行った。その結果、この余分な膜貫通ヘリックスはRh-PDEの発現と安定性、光依存性に関与していることがわかった。 以上の内容を論文にまとめ、Nature Communications誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全長構造の決定は困難であったものの、部分構造の決定に成功し、それらを組み合わせることで全長構造のモデルを構築できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
全長構造のモデルをもとに、Rh-PDEの構成的活性を低減させた変異体を作成することを試みる。また、モデル構造の確からしさを担保するために、リンカーのみの構造決定を試みる。
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