2019 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ヨウ素によるジアリールアミンの酸化的環化反応の開発とMIAの網羅的全合成
Project/Area Number |
19J13325
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
細谷 圭介 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 脱芳香族的酸化的環化反応 / 位置選択的アザ-マイケル反応 / モノテルペンインドールアルカロイド(MIA) / 超原子価ヨウ素試薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
モノテルペンインドールアルカロイド(MIA)類は、抗腫瘍活性をはじめとする多様な生理活性を有する化合物群であり、共通骨格としてヒドロカルバゾール構造を有する。そのため、当該構造の効率的な合成法の開発は、MIA類の網羅的合成を行う上で重要な研究課題である。当該構造の合成法としては、比較的簡便に合成可能なジアリールアミンに対し、脱芳香族化を伴う環化反応を行う手法が考えられる。しかしながら、当該反応はこれまでパラジウム触媒を用いた手法が1例報告されているのみであり、重金属触媒を用いない、より環境低負荷な手法の開発が求められている。そこで本研究では、環境調和型の酸化剤である超原子価ヨウ素試薬を用いた、ジアリールアミンの酸化的環化反応の開発を行うことを計画した。また、本反応により得られるヒドロカルバゾール誘導体を共通中間体として、異なる骨格構造を有するMIA類の合成を行うことを目的とした。 本年度は、ジアリールアミンの酸化的環化反応における反応条件の最適化及び基質一般性の確認を行った。その結果、超原子価ヨウ素試薬としてジアセトキシヨードベンゼン、溶媒としてヘキサフルオロ-2-プロパノールを用いることで、最高収率76%で目的とするヒドロカルバゾール誘導体が得られることを見出した。また、基質一般性の検討の結果、アミン部位の保護基が反応効率に大きく影響することを見出し、特にカルバメート系保護基であるメトキシカルボニル基とした場合に最も効率よく反応が進行することがわかった。さらに、得られたヒドロカルバゾール誘導体に対する分子内アザ-マイケル反応について検討を行った。その結果、塩化水素を作用させることで4位付加体が、トリフルオロ酢酸を作用させることで9a位付加体がそれぞれ優先的に得られることを見出した。これにより、異なる骨格構造を有するMIA類の網羅的全合成を行う基盤を確立することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ジアリールアミンの酸化的環化反応について検討を行った。その結果、超原子価ヨウ素試薬としてジアセトキシヨードベンゼン、溶媒としてヘキサフルオロ-2-プロパノールを用いることで、最高収率76%で目的とするヒドロカルバゾール誘導体が得られることを見出した。また、得られたヒドロカルバゾール誘導体に対する分子内アザ-マイケル反応について検討を行ったところ、塩化水素を作用させることで4位付加体が、トリフルオロ酢酸を作用させることで9a位付加体がそれぞれ優先的に得られることを見出した。これにより、異なる骨格構造を有するMIA類の網羅的全合成を行う基盤を確立することができたため、本研究計画は順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた4位付加体及び9a位付加体をもとに、10-メトキシアスピドスペルミジン及びビンコリンの全合成を行う。すなわち、10-メトキシアスピドスペルミジンに関しては、得られた4位付加体に対しD環部の構築及びエチル基の導入を行う。また、ビンコリンに関しては、9a位付加体に対しメチルエステル等価体であるシアノ基の導入を行った後、E環の構築を行うことを計画する。
|