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2019 Fiscal Year Annual Research Report

エレクトロスプレー連続経時解析によるリアルタイム細胞内小器官オミクス計測

Research Project

Project/Area Number 19J13330
Research InstitutionEhime University

Principal Investigator

中田 佳佑  愛媛大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2019-04-25 – 2021-03-31
Keywordsプレッシャープローブ / 細胞内小器官 / メタボロミクス / 水分状態計測 / エレクトロスプレー
Outline of Annual Research Achievements

セル・プレッシャープローブ(CPP)とOrbitrap質量分析計を組み合わせたpicoPPESI-MSを用いることで,イネを対象に開穎前日の籾内にある葯中の1花粉粒の代謝産物解析が可能であった.さらに,イネを高温処理条件下で処理しているときにも同様の実験を行うことができた.高温下での稔実率(即ち,高温耐性)の異なる2品種を供試し,CPP先端で葯壁直下の1花粉を穿刺し,花粉溶液を採液,水で希釈したのち,代謝産物解析を行った.その結果,雌蕊着床後の花粉管伸長を誘導するシグナル伝達を司るホスファチジルイノシトールリン酸の基質であるホスファチジルイノシトール(PI)代謝の高温に対する応答に顕著な品種間差が見出された.以上から,葯開裂前の成熟花粉にPI代謝の違いが高温耐性に密接に関与している可能性が強く示唆された.
また,栽培環境下のトマト成熟葉向軸側表面に分布するトライコーム柄細胞の原形質流動速度と水分状態を計測しながら,水ストレス条件での代謝変動を追跡した.PicoPPESI-MSはミトコンドリア,ペルオキシソーム,プラスチド内の代謝変化を追跡可能であり,水ストレス条件下で,原形質流動の原動力となる解糖系,TCA回路をはじめとするエネルギー代謝の活性化を行い,原形質流動が浸透圧調節に寄与することを明らかにした.
さらなる細胞内小器官内代謝物の検出感度の向上を目指し,オオカナダモ向軸葉細胞から10個の葉緑体を含んだ細胞溶液約100 pLを取り出し,細胞内小器官内代謝物抽出のための膜破壊を試みた.凝固点降下法による浸透圧計測(凍結温度: -40℃)後,キャピラリー内でメタノール処理した細胞溶液を液体窒素(-192℃)に曝すことで凍結/解凍処理を行った.その結果,葉緑体膜に多量に含まれるガラクト脂質を中心に,細胞内小器官脂質膜成分の検出に成功した.さらに,カルビン・ベンソン回路をはじめとする細胞内小器官膜に内包された代謝物の信号強度が向上した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

開穎前日の籾内にある葯中のイネ1花粉粒,成熟葉向軸側表面に分布するトマトトライコーム柄細胞をはじめとする単一植物細胞から細胞内小器官由来と考えられる代謝物の検出に成功した.細胞内小器官レベルでのメタボロミクスを達成するために,オオカナダモ葉細胞に存在する葉緑体を直接採取し,メタノール処理および液体窒素を用いた凍結/解凍処理を施すことで,葉緑体膜の溶解・葉緑体膜に内包されるカルビン・ベンソン回路代謝物を高感度に検出する手法を確立できた.以上のことから,順調に実験が進行しているといえる.

Strategy for Future Research Activity

1. 細胞内のエネルギー代謝の中心となる細胞内小器官であるミトコンドリアは好気呼吸によりATPの産生を担い,融合・分裂を頻繁に繰り返すことでその恒常性を維持する.また,ミトコンドリア数とエネルギー代謝の活性は正の相関を持つ.そこで,標的細胞となるトマトトライコーム柄細胞の透過電子顕微鏡 (TEM) 観察用超薄切片を作製することで,水ストレス条件下のトライコーム柄細胞の水分状態,細胞内小器官代謝濃度変動,および表現型可塑性に伴う原形質流動応答の関係性を明らかにする.
2. オオカナダモ向軸葉細胞を顕微鏡下で観察すると,伸長,成熟,老化部位での葉緑体径・密度は異なっており,葉緑体の分裂・分解過程を確認できる.特に,イノシトールリン脂質は細胞内小器官膜やゴルジ体に局在し,シグナル分子として葉緑体分裂に関わる.また,老化過程の葉緑体は好オスミウム酸顆粒の増加とともに,オートファジーによるバルク分解による栄養素の回収が行われる.そこで,ポストサンプリング処理による細胞内小器官を指標とした代謝物のイオン化効率を最大化した後,picoPPESI-MSを伸長,成熟,老化部位毎に実行することで,細胞内ネットワークにおける細胞内小器官代謝物による葉緑体分裂・分解機能の新たな制御機構を明らかにする.

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] On-site single pollen metabolomics reveals varietal differences in phosphatidylinositol synthesis under heat stress conditions in rice2020

    • Author(s)
      Wada Hiroshi, Hatakeyama Yuto, Nakashima Taiken, Nonami Hiroshi, Erra-Balsells Rosa, Hakata Makoto, Nakata Keisuke, Hiraoka Kenzo, Onda Yayoi, Nakano Hiroshi
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 10 Pages: 1-11

    • DOI

      10.1038/s41598-020-58869-9

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2021-01-27  

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