2019 Fiscal Year Annual Research Report
3Dスキャンモデルにおけるプロシージャルモデルの付加方法
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19J13492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
盧 承鐸 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | コンピュータグラフィックス / プロシージャルモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,既存の3次元スキャン技術では直接取得が難しい物体表面の微細構造や詳細情報を含んだ3Dモデルの再構築を可能にする技術を研究開発するものである.本年度の研究では,表面上に毛並みの生えた3次元物体を対象として,大きく二つの要素技術ついて研究開発を行った.要素技術の一つは,実物の毛並みをプロシージャルモデル上で再現する際に必要なパラメータ推定技術であり,知覚的特徴を尺度とした最適化手法によって入力の毛並みサンプルの実写画像に類似した結果をプロシージャルモデルで再現する技術である.この内容に関してはコンセプトの提案手法の考案した上,既存のレンダリングソフトウェア上での毛並みパラメータを推定するように実装し検証実験を行い,その有効性を確かめた.もう一つの要素技術は,毛並みの生えた3次元形状をスキャンする際にモデル形状上に起こる癒着問題をユーザの指定するスケルトン情報を利用することで解決する技術であり,アイデア検証のためのプロトタイプと初期実験を本年度中に学会に発表し,学会でのフィードバックを反映した論文を学術誌にて発表した.今後の研究方向性としては,毛並みパラメータ推定技術の計算過程における画像の生成頻度を減らすことにより速度を向上させること,そして,毛並みのプロシージャルモデルにのみならず,プロシージャル・テクスチャなどの他の表面構造の表現できるデータ構造にも提案手法を適用すること等を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では,物体表面形状の中で,特に毛並みをプロシージャルモデルとして再現することを目標として研究開発を進めた.最終的には3次元モデル上での毛並みの再現を想定しているものの,スキャン技術自体の限界点もあり,プロシージャルモデルによる毛並みの再現部分と3Dスキャンで問題になる部分を分離して研究開発を行った. まず,毛並みのプロシージャルモデル再現については,2次元のサンプル上での毛並みの再現問題を限定して研究開発を行った.そのために,多種の実物毛並みサンプルを購入し画像データを集める一方,そのサンプルの毛並みを最適化手法に基づきプロシージャルモデル上で再現するパラメータ推定手法を提案した.提案手法では個別パラメータを少しずつ変更して画像を生成し,パラメータの数値微分を求め,その情報を元にパラメータの最適化を行う.この最適化において,画素レベルの類似度測定は上手く作動しなかったため,ニューラルネットワークによる画像の知覚的特徴を比較尺度として用いることで,毛並みの雰囲気を再現することが出来た.本年度中は,この手法の考案と実装及び検証実験を行い,その有効性を確かめた. 一方,サンプルのような整った状況でなく,毛の生えた3Dモデルをスキャンする際には,本来されたパーツが毛の影響によって癒着されてしまう問題がある.これを解決するための方法として,ユーザの指定するスケルトン情報を活用した形状処理手法を提案し,国際学会であるGI 2019にて発表した.また,学会でのフィードバックを反映した内容を国際学術誌に掲載している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究で最初に行うこととして,現在確立されている毛並みのプロシージャルモデルのパラメータ推定手法を整理し,学術誌への投稿及び発表を完了させることである.この件に関しては,既に検証実験などでデータを確保しているため,容易に達成できると予想される. 次に,提案手法の検証実験で明らかになった技術的課題を解決する.提案手法では,推定パラメータの知覚的特徴を評価するために毎回画像を生成しなければならない.しかし,パラメータの互換性を保つために画像のレンダリングに数秒が必要な既成のソフトウェアに依存しており,最適化に時間がかかってしまうのが処理のボトルネックとなっている.そこで,処理速度向上のために画像生成自体にかかる時間を減らすか,画像生成の頻度を減らす方法などが必要であり,それについて研究開発を行う. もう一つの研究方向性として,毛並み以外のプロシージャルモデルへの拡張が挙げられる.提案手法はプロシージャルモデルによる毛並みの再現を目標として作られたものであるが,原理的にはパラメータによって画像が生成され,生成画像と例示画像の知覚的特徴量を比較して最適化するようなものであれば適用可能な,汎用的なものである.そこで,本年度の研究では毛並み以外の物体表面の微細構造にも対応できるよう,プロシージャル・テクスチャへの拡張を予定している.
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Research Products
(2 results)