2019 Fiscal Year Annual Research Report
LHC加速器を用いた重いマヨラナニュートリノの探索
Project/Area Number |
19J13513
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 佑太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 新粒子探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
重いマヨラナニュートリノ探索の中でも、右巻きWボソンと右巻きニュートリノの質量差が1 TeV以上の領域では、ハドロニック崩壊したWボソンが大半径ジェットとして再構成される。2種類の大半径ジェットの再構成手法に関して、シミュレーションデータと実際の物理データの横運動量を比較し、そのずれを補正することで系統誤差の削減を行った。 横運動量が比較的小さい領域では、カロリーメータの情報をベースとした再構成手法を用いた大半径ジェットを使用する。この大半径ジェットを補正するために複数のジェットが反対方向に出るイベントを抽出し、精度よく補正された小半径ジェットを用いて大半径ジェットを補正する手法を用いて系統誤差を削減した(図1)。 また、横運動量が比較的大きい領域では、カロリーメータと飛跡検出器の情報を組み合わせ、パイルアップに強い再構成手法を用いた大半径ジェットを使用する。この大半径ジェットの補正は、カロリーメータの情報をベースとした大半径ジェットとカロリーメータと飛跡検出器の情報を組み合わせた大半径ジェットの2種類の再構成手法を用いた場合のシミュレーションデータと実際のデータを比較し、補正を行う手法を考案した。この手法により、大半径ジェットの横運動量に関する系統誤差を今までの約半分にすることができた。 2つの電弱ボソンによる共鳴状態を用いた未発見の電弱ボソンや重力子の探索に、これらの大半径ジェットの横運動量補正手法を用いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハドロニック崩壊したウィークボソンを用いる解析では、大半径ジェットのエネルギー較正の系統誤差が物理感度に大きく影響する。そこで大きくローレンツブーストされたウィークボソンの認識手法について、その系統誤差を精密に評価しこれを削減させる研究を精力的に行った。これにより、物理測定における感度を大きく改善した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、大半径ジェットを用いたウィークボソンの認識手法の改善を行い、背景事象と信号事象の分離を精度よく行う手法を考案する、 またその手法を用いて、実データとシミュレーションデータを比較し、新たな手法を用いた場合の系統誤差の見積もりなどを行う。 最後により信号事象が多く含まれるように、様々なパラメータのカット条件を最適化した信号領域を設定し、最終的な物理感度の評価を行う。
|