2019 Fiscal Year Annual Research Report
二次元層状ピエゾ材料を用いたナノ発電デバイスの開発
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19J13579
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東垂水 直樹 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 二次元層状物質 / 圧電 |
Outline of Annual Research Achievements |
振動発電デバイスへの応用に向けて、優れた圧電特性が理論的に予想されている単層SnSの作製と評価を行った。グラフェンやMoS2などの二次元材料は弱いファンデルワールス力で積層されているためスコッチテープなどを用いた機械的剥離で容易に単層形成が可能である。しかし、SnSはファンデルワールス力に加えてイオン性結合が働き層間力が強くなるため単層形成が困難とされていた。前年度までにAu原子とS原子の間に働く強い共有的結合に着目した金転写法を用いて従来よりも薄い二次元SnSを作製できることを報告したが最薄でも9層だった。本年度は、厚いバルク材料を表面から酸化して薄くする表面酸化法とボトムアップ的に単層形成を狙った物理気相成長法を検討した。 SnSの脱離を制御することによっていずれの手法によっても単層形成が可能であることを明らかにした。表面酸化法で作製した単層は固有のラマンピークが観察されなかったが、成長法による単層は明瞭なラマンスペクトルが観察されたことから結晶性の違いが示唆された。さらにFETを作製し評価したところ成長SnSはSn欠陥に由来するp型の挙動が、表面酸化法の単層は過剰なS欠陥も加わり両極性の挙動が観察された。SnSのintrinsicな欠陥はSn欠陥であり理想的にはp型の挙動を示す。成長法は表面酸化法よりもextrinsicな欠陥の導入を抑えられ、光学・電気測定において優れた特性を示したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SnSの圧電特性は奇数層のみで現れ単層で最大化するため単層形成が不可欠である。これまでにも様々な単層形成手法が検討されてきたものの、高結晶かつデバイス応用が可能なマイクロメートルサイズの単層SnSは報告されていなかった。現在までに、結晶成長法により大きさ数マイクロメートルの単層形成に成功した。さらに光学・電気特性の評価から、結晶欠陥の導入を抑えられた高結晶な単層SnSであることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
振動発電デバイスへの応用に向けて、単層SnSの圧電特性の評価を進めていく。数Hzの振動を再現したひずみ印加装置を自作し、電気特性のひずみ応答を計測する。
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Research Products
(7 results)