2020 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質化学合成法を用いた修飾ヒストンの化学合成とその機能解明
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19J13608
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加茂 直己 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質化学合成 / 有機金属触媒 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では2019年度に開発したルテニウム触媒を用いたワンポットペプチド連結法を用いて、均質的に翻訳後修飾が導入されたヘテロクロマチンプロテイン1α(HP1α)を合成し、各修飾の機能を明らかにした。 HP1αは、ヘテロクロマチン構造の形成、転写不活性化に寄与することが知られており、クロマチンの動的変化を理解するためには、タンパク質化学合成法による修飾入りHP1αの化学合成、その翻訳後修飾の機能解明が必要となる。191アミノ酸から構成されるHP1αを5つのペプチド断片へと分割し、それぞれ固相合成法により合成を行った。連続的にペプチド断片の連結とルテニウム触媒による脱保護反応を繰り返すことで4つのペプチド断片をワンポットでつなげ、脱硫反応と銀錯体による脱保護を行った後、残りのペプチド断片を連結し全長HP1αを得た。確立された合成ルートに基づき先行研究で報告されていたリン酸化、アセチル化、ユビキチン化が導入されたHP1αを合成し、計7種類のHP1αバリアントの化学合成を達成した。 次にHP1αとDNAとの相互作用における各翻訳後修飾の影響を調べた。アッセイの結果、HP1αのN末端領域のセリン11,12,13,14番目におけるリン酸化によりDNAに対する結合力が無修飾に比べて6倍以上低下することがわかった。他の位置におけるリン酸化やアセチル化、ユビキチン化ではこのような顕著な結合力低下は観察されなかった。更に、動的光散乱法による測定によりN末端セリンのリン酸化が存在する場合ではHP1αとDNAとの凝集体の形成が抑制されることがわかった。これらの発見は均質的に翻訳後修飾が導入されたHP1αを合成しアッセイすることで初めて判明したことである。本研究は、Chemical Science誌へ論文発表しており、複数の国内学会でも発表した。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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