2019 Fiscal Year Annual Research Report
The most sensitive charged lepton flavor violation search in the world with advanced positron spectrometer
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19J13635
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇佐見 正志 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 検出器コミッショニング / 軌跡検出器 / 時間検出器 / 再構成アルゴリズム / 検出器運用 / 新物理探索実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、ミュー粒子が陽電子とガンマ線に二体崩壊する事象を世界最高感度で探索するための実験(MEG II実験)の遂行である。私は当該年度、「陽電子軌跡検出器と時間検出器を組み合わせた運用とデータ取得」と「陽電子検出器の情報を最大限に活かした解析アルゴリズムの開発」の二点に重点を置いて研究を遂行した。 一点目について、読み出しチャンネル数は限られていたものの、二つの陽電子検出器を組み合わせ、本番とほぼ同等の設備環境での検出器コミッショニングを年末に行った。特に陽電子時間検出器では、崩壊粒子による検出器の損傷(放射線損傷)の影響を抑えるための低温運転システムの準備と運用試験、解析のパラメータ最適化手法の確立等に成功した。陽電子軌跡検出器では読み出しチャンネルの組み合わせを変えながら時間検出器と組み合わせたデータの蓄積に成功した。 二点目について、取得したコミッショニングデータの解析アルゴリズムと、シミュレーションを用いて全チャンネルに拡張した際の再構成効率を上げるためのアルゴリズムの二つを並行して行った。前者については、これまでに取得したデータから、陽電子時間検出器の情報から再構成した軌跡の情報を用いることで、これまで成功していなかった陽電子軌跡検出器と陽電子時間検出器を繋いだ部分的な軌跡の再構成に成功した。この部分軌跡は軌跡検出器内部の単一ヒットの評価等、軌跡検出器の性能を理解するためのスタディに用いる。また、後者についてコミッショニングで得られた知見(例えば波高やノイズの状況)をシミュレーションに反映することで、より現実的な実験の到達点の推定が可能になった。特に波高に関して、想定よりも低いデータが得られたので、ハードウェアの観点から改善を目指すとともに、解析アルゴリズムの方でも再構成効率を上げるためのスタディを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、「陽電子検出器のコミッショニングの遂行、長期安定運用手法の確立」および、「陽電子検出器への深い理解を用いた陽電子再構成アルゴリズムの開発、再構成効率の向上」であった。 前者について、読み出しチャンネル数は限られていたものの、検出器の運用手法を改善するとともに、新たに検出器のコミッショニングデータを蓄積することに成功した。時間検出器についてはデータ取得期間中非常に安定しており、解析や運用、メンテナンス作業についても非常に順調に遂行することができ、さらには運用システムの改善や解析パラメータの最適化等にも着手することができた。また、軌跡検出器の安定性に関する問題点を見つけ原因を調査することで、次回の検出器コミッショニング及び、物理データ取得にむけた改善点を洗い出すことができた。これらの知見の蓄積は物理データ取得に向けて非常に重要な進展であった。 後者に関しても、コミッショニングデータの解析による検出器の理解が進んだことで、より現実的なシミュレーションの整備が可能になった。ハードウェアに関する改善は今後も行われていくため、様々な状況を仮定したシミュレーション設定を用意し、今後も状況に応じて最大限に検出器の応答を再現、理解した状態でスタディを進めていく必要があり、そのための準備ができたのは非常に大きな成果と言える。再構成効率を改善するための新しいアルゴリズムについても提案・議論・実装が継続的に進んでいる。 以上を総合し、軌跡検出器の安定性等の問題点も見つかってはいるものの、その発見自体もコミッショニングの成果の一つであり、当該年度の研究成果について非常に重要な進展が複数確認できたことから、おおむね順調に研究が進行していると結論づけた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度までに「製作した検出器を運用し、データを取得するための運用手法の確立」と「製作した検出器を理解するための解析手法の確立」および「製作した検出器とその理解を用いて、陽電子の軌跡や時間を再構成するための高度なアルゴリズムの開発」に関しては一定の成果を上げることができた。現在もハードウェア・ソフトウェアともに改善点は多く挙げられており、今後はこれらの確立した理解・手法・アルゴリズムをより洗練し、状況に応じてアップデートしていくことも重要である。 一方で今後より重点を置いて遂行すべき研究項目は物理データの取得・蓄積が遂行された際に本当に到達可能な、荷電レプトンフレーバー破れ現象(MEG II実験で探索を目標にしている、ミュー粒子が陽電子とガンマ線へ二体崩壊する事象はこの現象の一種)のより現実的な探索感度の見積もりである。特に、陽電子側では変数間の相関や検出器の分解能、再構成効率について、現実的な見積もりをした上で正しく確率密度関数を作成し、到達感度を推定する必要がある。当該年度までに準備した陽電子解析アルゴリズムやシミュレーションの設定を用いて様々な状況と仮定の下で到達感度を推定し、ガンマ線の再構成情報と組み合わせて、実験全体の到達点を定めることは、MEG II実験遂行において最重要項目である。また、必要があればビームレート等調整可能なパラメータで、検出器以外の観点からも到達感度を底上げできないか試みる。
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[Presentation] Positron Reconstruction Algorithms for MEG II Pixelated Timing Counter2019
Author(s)
Masashi Usami, Gianluigi Boca, Paolo Walter Cattaneo, Matteo De Gerone, Flavio Gatti, Mitsutaka Nakao, Miki Nishimura, Wataru Ootani, Massimo Rossella, Yusuke Uchiyama, Kosuke Yanai, Fedor Ignatov
Organizer
Physics of fundamental Symmetries and Interactions 2019
Int'l Joint Research
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[Presentation] Study on Time Offset Effect for Scintillation Detectors with Series-Connected SiPM Readout2019
Author(s)
Kosuke Yanai, Gianluigi Boca, Paolo Walter Cattaneo, Matteo De Gerone, Flavio Gatti, Mitsutaka Nakao, Miki Nishimura, Wataru Ootani, Massimo Rossella, Yusuke Uchiyama, Masashi Usami
Organizer
Physics of fundamental Symmetries and Interactions 2019
Int'l Joint Research
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