2019 Fiscal Year Annual Research Report
Extension of the Standard Model by flavor-dependent U(1) gauge symmetries
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19J13812
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅井 健人 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | フレーバー対称性 / ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
標準模型のゲージ群の拡張のうちレプトンフレーバーに依存するU(1)ゲージ群、具体的にはミュー粒子数とタウ粒子数の差に依存したU(1)ゲージ群による拡張模型における現象論を調査した。このような模型においては、ニュートリノの質量行列にゲージ対称性由来の強い制限が課せられる。一方で、様々なニュートリノ振動実験によりニュートリノは質量を持ち、ニュートリノ混合を起こすことが知られている。また、Planck衛星の観測によってニュートリノの質量は他のフェルミオンと比べて非常に小さいことが分かっている。 本年度の研究では、先ず最低限満たすべき要件としてニュートリノの軽い質量と混合が実現できるかを調査し、その上でU(1)ゲージ群が電弱スケール付近で破れる場合の現象論・宇宙論を議論した。具体的には、IceCube実験でsub-PeVエネルギー領域における高エネルギーニュートリノのフラックスの理論予想と観測結果との間の差(IceCubeギャップ)が指摘されているが、ミュー粒子の異常磁気能率を説明する新たなゲージボソンの質量と結合定数の下でこのIceCubeギャップが説明できるかどうか、その可能性を議論した。その結果、ゲージセクターに加えてフェルミオンセクターとスカラーセクターを拡張した模型を提案し、MeVスケールのスカラーによってIceCubeギャップを説明し得る大きさのニュートリノの隠れた相互作用を実現出来ることを示した。 また、レプトンフレーバーに依存するU(1)ゲージ群をより一般的なU(1)ゲージ群、具体的にはバリオン数とレプトン数の差に依存するU(1)ゲージ群との線形結合をとったU(1)ゲージ群に拡張し、ニュートリノの質量や混合に関する実験・観測からの制限を満たし得るかを調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では、先ずミュー粒子数とタウ粒子数との差に依存するU(1)ゲージ群による拡張模型における電弱エネルギー程度のスケールの現象論・宇宙論を議論し、続いてこの拡張模型においてレプトジェネシスによって宇宙のバリオン非対称が生成出来るかどうかを調査することとなっていた。前者についてはミューオンの異常磁気能率とIceCubeギャップに関しての論文を発表し査読雑誌に採録されたため、順調に進展していると判断する。後者については現在調査中で間も無く論文を投稿する段階であり、やや遅れているが、総合的には「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
フレーバーに依存したU(1)拡張模型におけるレプトジェネシスによるバリオン非対称の生成については、今年度に引き続き調査を行うものとする。また暗黒物質に関しては、フレーバーに依存したU(1)ゲージ群が直接検出や間接検出のシグナルに与える影響に注目して調査し、他の標準模型を超える物理(ミュー粒子の異常磁気能率など)を同時に説明し得る模型の構築をする。
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Research Products
(8 results)