2019 Fiscal Year Annual Research Report
神経発達の臨界期における有機リン系殺虫剤の縦断的曝露影響評価
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19J13891
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大矢 奈穂子 名古屋市立大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 有機リン系殺虫剤 / 生物学的モニタリング / 網羅的分析法 / 曝露評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の3つの研究に取り組んだ。 1. 胎児期での有機リン系殺虫剤(OP)への曝露量を評価するため、エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)の愛知ユニットセンターにおける参加者のうち、同意を得られた一部の参加者については妊娠前期および中・後期の尿を長期保存してある。これらの尿が保存されている方のうち、さらに1歳半と3歳時点で児の尿回収に協力していただいた母親600名分の妊娠期の尿を用いた。300名分に関しては前年度のうちにOP尿中共通代謝物(DAP)の分析が完了していたため、今年度は残りの300名分(妊娠前期および中・後期の各2時点 600検体分)の測定を行った。分析機器には超高圧高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いた。各物質の定量を行い、検出率や中央値を算出した。 2. エコチル調査の愛知ユニットセンターにおける参加時のうち、6歳児および8歳児を対象に、児童用Autism-Spectrum Quotient日本語版を用いて発達調査を行った。6歳時については、エコチル調査の詳細調査参加児のみを対象とし、調査参加時(2019年4月21日から2020年2月24日まで)に対象の164名全員から質問紙、そのうち150名から早朝尿を回収した。8歳時については、質問紙を郵送で発送し回答後郵送にて返却していただき、2019年11月から2020年2月までに445名から回収した。2020年度も引き続き調査を継続する。 3. 高速液体クロマトグラフ-高分解能質量分析計を用いて、OP代謝物の網羅的分析法を確立した。分析法を確立するにあたって、7種類のOP曝露マーカーの分析妥当性について確認した。この方法を用いて、前年度にDAPの分析を行った妊婦のうち、妊娠前期のDAP濃度が上位3分の1であった200名のうち100名の網羅的分析を完了させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の目標であった妊婦600検体分(300名各2時点)のOP尿中共通代謝物を完了させた。さらに、網羅的分析に関しては、方法を確立し、当該年度の目標であった100名分の分析を完了させた。児を対象とした質問紙調査についても、予定通り参加者から質問紙を回収することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
測定を完了した、胎児期と出生後(1.5歳、3歳時)のOP曝露量のデータを用いて、曝露量の縦断的評価を行う。網羅的分析に関しては、分析の完了していない残り100名の尿を分析し、対象とした妊婦がどのようなOP薬剤に曝露していたかの特定を目指す。
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Research Products
(6 results)