2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of inhibition of membrane raft formation by anesthetic compounds using artificial membrane and budding yeast
Project/Area Number |
19J13923
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 惇志 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | リポソーム / 麻酔 / アルコール / GUV / 膜ドメイン / ラフト |
Outline of Annual Research Achievements |
麻酔薬の作用機構は未解明である。化合物の脂溶性が高いほど麻酔作用が強くなるMeyer-Overton相関に基づいて、細胞の主要な脂溶性画分である脂質膜を麻酔薬の標的と考える脂質説が古くから提唱されている。一方、生体膜上では、特定の脂質やタンパク質が集積したナノ~マイクロスケールの領域(膜ドメイン)多様に形成されていると考えられている。本研究では、n-アルコールが脂質に作用して膜ドメインの形成を阻害することで、動物に対する麻酔作用や微生物に対する増殖阻害作用などの様々な生物作用を引き起こすと考え、膜ドメインに対する麻酔薬の影響を解析することを試みた。 本年度は、昨年度に確立した、直径10-100 μm程度の巨大脂質膜小胞(giant unilamellar vesicle: GUV)の調製システムをさらに改良し、ステージ温度を自由に管理した状態での観察を可能にした。この実験系を用いて、18:0-ホスファチジルコリン(DSPC)、18:1-ホスファチジルコリン(DOPC)、コレステロールの3成分を主成分とするGUVを調製し、脂質の割合を変えることで様々なドメイン構造が観察されることを確認した。そのうち、生体膜と類似の液体秩序相(Lo相)と液体無秩序相(Ld相)が共存する脂質組成のGUVを用いて、アルコール存在下でドメイン形成に変化が起こるかを検討した。各鎖長のアルコール(C2-C12)存在下で、GUVのドメイン形成は濃度依存的に阻害された。濃度作用曲線からドメイン形成を50%阻害する濃度を求めると、鎖長が長いほど作用が強くなるMeyer-Overton相関を示した。したがって、アルコールは脂質に直接作用して膜ドメイン形成を阻害し、タンパク質がなくてもMeyer-Overton相関が成り立つことが明らかとなった。
|
Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)