2020 Fiscal Year Annual Research Report
粒子加速注入問題の解明に向けた超新星残骸のX線精密分光による準相対論的粒子の観測
Project/Area Number |
19J14025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾近 洸行 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 超新星残骸 / 分子雲 / 天体プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙線のうち knee エネルギー以下のものは銀河宇宙線呼ばれ、超新星残骸で加速されたと考えられている。現在、この粒子加速機構はフェルミ機構が有望視されている。しかしながら、この機構はエネルギーの低い非相対論的粒子には有効的に働かず、観測された相対論的粒子の総量を説明できない。そこで、何らかの粒子注入機構による予備加速が必要であると考えられている。この機構を解き明かす鍵は、非相対論的粒子が予備加熱を受けた直後に相当する準相対論的粒子の組成や総量といった情報である。今年度は、超新星残骸で加速された準相対論的な粒子の組成に迫るべく、それら粒子が分子雲と衝突した際に放射される鉄輝線構造のモデリングに取り組んだ。地上試験のデータから、陽子からニッケルまでの衝突によって生じる輝線構造の再現に成功し、この構造が将来のカロリメータを使用した精密分光観測であれば検出可能できることを示した。本結果は査読付き論文として発表し、国内学会て口頭発表を行った。
加速された粒子によるプラズマへのフィードバックを調査するため、XMM-Newton 衛星を用いた超新星残骸 IC 443 の熱的 X 線の解析を行なった。IC 443 で発見された過電離プラズマが、加速された粒子による電離で生成されうるかを Energetics の観点から議論した。その結果、過電離プラズマの生成には超新星爆発のエネルギーを超える莫大なエネルギーが必要であり、このシナリオでの過電離生成は困難であることを突き止めた。一方、場所毎の解析から、分子雲と衝突する領域にかけてプラズマの温度が低く、過電離の度合いが強くなることを発見したことから、IC 443 の過電離プラズマの成因は分子雲からの熱伝導冷却に起因すると結論づけた。本研究は国内学会で口頭発表を行った。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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