2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J14288
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
沖 光脩 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 反芳香族性 / 酸化還元 / 7員環 / ヴィルスマイヤー反応 / 芳香族求核置換反応 / 酸化的渡環反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
含窒素ナノカーボンであるヘキサピロロヘキサアザコロネン(HPHAC)は電子豊富な平面分子であり、多段階の可逆な酸化還元挙動を示すことから分子エレクトロニクスへの応用が期待されている。 本年度、アルキル側鎖を有するHPHACの合成検討中にDDQと強酸の反応条件ではHPHACが、DDQのみの反応条件ではHPHACの部分開環体が主生成物として得られることが分かった。この部分開環体に対してVilsmeier反応を試みたところ、ホルミル化ではなく分子内環化反応が収率良く進行し、1か所メチン炭素架橋されたπ拡張HPHACのモノカチオン体が生成することを見出した。単結晶X線構造解析によって、メチン炭素架橋による7員環の形成と1つのπ拡張HPHACに対してカウンターアニオンが1つ存在し、確かにモノカチオンであることを確認した。さらにNMR測定での周辺エチル基の高磁場シフトや計算化学(NICS及びACID)から、このモノカチオン体は24π反芳香族分子であると結論付けた。これはアザコロネン類として初めて明確な反芳香族性を示すカチオン種である。UV-vis-NIR吸収スペクトルからも狭いHOMO-LUMOギャップに由来する近赤外領域の吸収が確認された。電気化学的特性をCV測定により調査すると2段階の可逆な酸化波と1段階の非可逆な還元波が観測された。そこで、化学的酸化を試みたところ、22π芳香族性を示すトリカチオン種の単離とX線構造解析にも成功した。 その他のπ拡張アザコロネン類に関しては、パークロロコラニュレンに対する3,4-ジエチルピロールの芳香族求核置換反応と続く酸化的渡環反応を行ったところ、その生成を支持するMALDI-TOF-MSの結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究課題であるπ拡張アザコロネン類の合成において当初の期待以上に進展が見られた。特にアルキル側鎖を有するHPHACの合成研究にて、反応条件の検討中に全渡環体だけでなく、渡環反応が1か所進行していない化合物(HPHAC部分開環体)の合成条件を明らかにした。この部分開環体をVilsmeier試薬と反応させることで、今まで合成できなかった反芳香族性を示すπ拡張HPHACのモノカチオン体の合成に成功した。また、さらに2電子酸化することでトリカチオン体を単離し、芳香族性を示すことを明らかにした。この成果は論文としてまとめ、JACSに掲載された。 その他のπ拡張アザコロネン類においても合成法の検討を行っており、コラニュレンを中心とするπ拡張アザコロネン類に関しては、その生成を支持するMALDI-TOF-MSの結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
合成及び測定データを集め終えたアルキル側鎖を有するHPHACに関しては論文を執筆中で、終わり次第、アントラセン中心体のπ拡張アザコロネン類の論文執筆に取り組む予定である。その他のπ拡張アザコロネン類に関しては、MALDI-TOF-MSにより生成が確認されたコラニュレン中心体に注力して合成と精製方法の最適化及び物性測定を行う。
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Research Products
(5 results)