2019 Fiscal Year Annual Research Report
可逆な不可視情報を物体に埋め込むファブリケーション手法の研究
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19J14350
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
HAN CHANGYO 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 凹凸マーカ / 感圧タッチセンサ / 物理インタフェース / プロトタイピング / インフレータブル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、あらかじめ設計された凹凸のパターンをファブリケーション時に実物体の表面に作製することで、後に感圧タッチセンサ面上において認識させる手法の提案を行った。新しい提案では物体に加わる力の情報を凹凸を有する基準マーカを通じて力の加わった量や、重心の移動を用いることで物理インタフェースのプロトタイピングに使うというコンセプトを導入した。それをもとにマーカの構造、素材などの検討を行い実装し、ワークショップを通じてツールの有用性を評価した。その結果をまとめた学会論文がタンジブルインタフェースの学会であるTEI2020に採択され(採択率:28%)、Best Paper Award(最優秀な論文1本に贈られる賞)まで受賞した。 続いてデジタルファブリケーションによって作製できる物理インタフェースの研究を行い、マーカの凹凸パターンを可逆的に変化させられる技術の提案に取り組んだ。3Dプリンタによって気密な構造が作製できることに注目し、空気圧によって膨らむ突起をアレイ状に配置することで、マーカのパターンを変化させることを確かめた。それを利用し、感圧タッチセンサ面上の物理インタフェースをモジュール式に再構成できるシステムの提案を行った。その結果をまとめた論文がヒューマンコンピュータインタラクション分野の最も権威のある学会であるCHI2020に採択され(採択率:24.8%)、Honorable Mention Award(上位5%以内の論文に贈られる賞)を受賞した。さらにその成果を国内学会の情報処理学会インタラクション2020においてデモ発表を行い、参加者からも実行委員会からも高く評価され2つのインタラクティブ発表賞(一般投票、PC推薦)を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,前年度までの取り組みである凹凸マーカと感圧センサを用いた物品管理への応用とは違う方面の、マーカを用いた物理インタフェースの作製に関する研究を行った。物理インタフェースのプロトタイピングツールキットを作製しワークショップを開催し、その成果をタンジブルインタフェースの国際会議であるTEI 2020にて発表し、Best Paper Awardを受賞した。さらにそれからステップアップし、モジュール式の物理インタフェースを作製する手法を提案し、HCI分野における難関国際会議であるCHI 2020にてHonorable Mention Awardまで受賞した。また、国内のHCI分野の最大会議である情報処理学会インタラクションにおいても二つのインタラクティブ発表賞(PC推薦・一般投票)を受賞し、国内および国際の研究コミュニティから認められる研究成果をあげた。これらの成果は博士論文として審査をうけ、所属機関において情報理工学分野の博士学位を取得した。以上のことから,研究課題採択時に期待された以上の研究の進展があったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、空気圧による入力の伝達方式をさらに発展させ、内部にユーザからのインタラクションによって駆動するアクチュエータによる入力方式に注目して研究を進めたいと考えている。それらの成果をまとめ、IEEE Pervasive Computing Journalに投稿する計画である。 また、目的によって凹凸マーカの設計方針をどのように定めたほうが良いのかについて検討を行い、IEEE Accessに投稿する計画である。
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