2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research of new frustrated magnetism realizing on breathing kagome lattice antiferromagnet
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19J14391
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 裕人 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ブリージングカゴメ反強磁性体 / 幾何学的フラストレーション / 磁化プラトー / 超強磁場科学 / スピン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Li2Cr3SbO8に対し、一巻きコイルを用いて100テスラを超える磁場での磁化測定、磁歪測定、また電磁濃縮法を用いたさらに強磁場までの磁歪測定を行った。磁化測定は2.3Kで行い、これまでの4.2Kでの結果と比較すると1/3磁化プラトーの下部臨界磁場における磁化の増大がわずかに強調されることを確認した。これは温度を下げることで1/3磁化プラトーへの転移がより明瞭になることを意味している。磁歪測定からは、1/3磁化プラトーの転移磁場において磁歪にも異常があることが明らかとなり、スピン格子結合の存在が示唆される結果が得られた。そして、電磁濃縮法を用いた磁歪測定により1/3磁化プラトーの上部臨界磁場が215テスラ程度であることが明らかとなった。この磁化プラトーの幅はこれまでの研究でわかっている磁気相互作用の大きさなどと同程度のエネルギースケールであり、本系で実現している磁場誘起相の理解、また磁気モデルの完全解明に極めて重要な結果である。それらに加え、非破壊型パルスマグネットを用いて1/9磁化プラトーの温度依存性を調べ、1/9磁化プラトーが昇温と共に傾きを持っていき、ゼロ磁場の磁気転移温度4.3Kより遥かに高温である25Kまでその特徴を残すことを明らかにした。 以上の結果は、Li2Cr3SbO8においてフラストレーション、ブリージング異方性に加えてスピン格子結合を考慮する必要性、また温度磁場相図の一端を明らかにした結果であり、本系の磁性の考察への大きな足掛かりとなる。 L2Cr3SbO8の単結晶化、関連物質L2Mn3SbO8、Li2Fe3SbO8粉末試料の純良化と詳細な構造決定に関しては本年度に大きく進展させることはできなかった。それらは今後の課題として取り組み続けていく予定である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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