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2019 Fiscal Year Annual Research Report

P-カドヘリンのホモ二量体形成蛋白質間相互作用に対する特異的低分子制御剤の創成

Research Project

Project/Area Number 19J14451
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

妹尾 暁暢  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2019-04-25 – 2021-03-31
Keywordsカドヘリン / 細胞接着 / 低分子阻害剤 / 速度論
Outline of Annual Research Achievements

本研究ではP-カドヘリンのホモ二量体化形成に対する低分子制御剤の創成を目的として研究を実施している。本年度はこのヒット化合物のホモ二量体化阻害機構の精密解析を実施するとともに、得られた知見に基づき、さらに高活性を有する低分子化合物の創成を目標に研究を実施してきた。
ヒット化合物とP-カドヘリン分子のX線結晶構造解析より、ヒット化合物はP-カドヘリンのホモ二量体中間体(Xダイマー)形成を阻害している可能性が示唆されていた。X線結晶構造解析により化合物添加に伴うXダイマーの構造変化を解析しところ、このヒット化合物はP-カドヘリンへの結合に伴う蛋白質の構造変化を巧みに利用してXダイマー形成を阻害するというこれまでにない阻害メカニズムをもつことが示唆された。
このヒット化合物は、細胞凝集形成阻害能は持つものの、細胞凝集分散能はないことが分かっていた。こうした細胞レベルの阻害様式を記述するため、細胞接着形成に関する結合定数に着目し、カドヘリン分子を埋包したリポソームのカドヘリンの二量体化に基づく凝集形成速度を追跡した。その結果、ヒット化合物添加時には優位にこの凝集形成速度が低下していた。このことより、ヒット化合物による細胞接着形成阻害は、先に述べたカドヘリン分子のドメイン間のダイナミクス制御を基盤としてXダイマー形成の結合定数を制御することで実現したと推察された。
同時に、構造情報を活用し高活性な化合物の設計・合成を行った。その結果、ヒット化合物よりも1オーダー以上低い濃度域で細胞接着阻害活性を示す化合物の取得に成功した。この化合物は先に述べたリポソーム凝集アッセイにおいても元のヒット化合物よりも強い阻害効果を示し、in vitroと細胞の結果が相関することとなった。この結果は、本研究でのリガンドデザインが有効だったことを支持していると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

細胞接着蛋白質P-カドヘリンのホモ二量体化を制御する低分子化合物の創成を目的とし研究を遂行した。受入研究者が自ら取得した構造情報を活用してリガンドデザインを行い、同リガンドを有機合成によって合成した。その合成リガンドに関しては表面プラズモン共鳴法・細胞凝集アッセイを始めとする種々の物理化学的評価系を用いてP-カドヘリン分子への結合活性および、P-カドヘリンのホモ二量体化に対する阻害活性を調べた。その結果、もともとのスクリーニングより得られていたヒット化合物よりも1オーダー低い濃度域で細胞接着阻害活性を示す化合物の創成に成功した。さらに、これらの化合物のP-カドヘリンホモ二量体形成の阻害過程を精密解析した。リガンド化合物はホモ二量体形成の中間体であるXダイマー形成を阻害していることが示唆されていた。X線結晶構造解析より、リガンド低分子がホモ二量体形成に重要なカドヘリン分子のドメイン間のダイナミクスを制御することでXダイマー化を阻害しているという阻害メカニズムが明らかになった。

Strategy for Future Research Activity

今年度までで低分子によるカドヘリンの細胞接着に重要なリガンド結合部位の同定およびその阻害メカニズムの解明を行った。構造ベースの合成展開では、阻害濃度を低下させる有望な化合物の合成に成功したが、未だ当該ポケットへ高親和性で結合する化合物の創出には至っていない。今後は高親和性化合物の創成をより重点的な目標に定め、ドッキングソフトを用いた大規模なリガンドスクリーニングを実施する。ドッキングスクリーニングによって見出された骨格については表面プラズモン共鳴法を用いて結合活性を調べる他、細胞凝集阻害活性が向上しているか確認する。
また、これまで取得された化合物は主にCHO細胞を用いたアッセイにおいて細胞凝集阻害活性を示してきた。今後は、実際にP-カドヘリンが発現している癌細胞を用いた細胞凝集アッセイを実施し、本研究で見出された化合物群の効果を検証する。

  • Research Products

    (6 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 表面プラズモン共鳴(SPR)法を用いた蛋白質に結合する低分子リガンドスクリーニング2020

    • Author(s)
      妹尾暁暢、長門石曉、津本浩平
    • Journal Title

      蛋白質科学会アーカイブ

      Volume: 13 Pages: e096

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 低分子リガンドによる細胞接着蛋白質P-カドヘリンの同種親和的二量体化阻害に対する分子機構解明2019

    • Author(s)
      妹尾暁暢, 長門石曉, 吉田浩平, 伊藤翔, 上野剛, 田島卓実, 工藤翔太, 津本 浩平
    • Organizer
      第19回日本蛋白質科学会
  • [Presentation] 小分子リガンドによる細胞接着蛋白質P-カドヘリンの分子間相互作用制御と構造情報に基づくリガンド設計2019

    • Author(s)
      妹尾暁暢、齋藤雄太朗、伊藤翔、長門石曉、上野剛、吉田浩平、田島卓実、工藤翔太、山東信介、津本浩平
    • Organizer
      第13回バイオ関連化学シンポジウム
  • [Presentation] Disruption of Homophilic Protein-protein Interaction of P-cadherin by A Fragment Compound as A Trigger To Inhibit Cell Adhesion2019

    • Author(s)
      Akinobu Senoo, Satoru Nagatoishi, Kouhei Yoshida, Sho Itoh, Go Ueno, Takumi Tashima, Shota Kudo, Kouhei Tsumoto
    • Organizer
      The Protein Society Annual Symposium
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] ホモ二量体形成蛋白質P-カドヘリンによる細胞接着阻害を可能にする新規低分子リガンド結合部位の同定2019

    • Author(s)
      妹尾暁暢, 長門石曉, 吉田浩平, 伊藤翔, 上野剛, 田島卓実, 工藤翔太, 津本浩平
    • Organizer
      第92回日本生化学会大会
  • [Presentation] 物理化学的手法を駆使した細胞接着蛋白質P-カドヘリンのホモ二量体化相互作用を阻害する低分子の同定とその阻害機構解明2019

    • Author(s)
      妹尾暁暢、齋藤雄太朗、伊藤翔、長門石曉、上野剛、吉田浩平、田島卓実、工藤翔太、山東信介、津本浩平
    • Organizer
      第37回メディシナルケミストリーシンポジウム

URL: 

Published: 2021-01-27  

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