2019 Fiscal Year Annual Research Report
Political Economy of Austerity: Paradox of Capitalisms and Partisan Politics
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19J14502
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 淳平 早稲田大学, 政治経済学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 党派政治 / グローバル化 / 法人税 / 社会的投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず研究計画の大幅な見直しを行なった。当初計画では党派政治のあり方を原因とし、緊縮政策の程度を結果とした研究計画を想定していたが、そもそも党派政治のあり方が所与ではなく、様々な要因によって変動する内生的なものであることが理論的に想定され、まずなぜ党派政治のあり方が変動するのかという部分を検討する必要があった。 そこで本年度ではグローバル化と党派政治の関係をより緻密にする研究を行なった。先行研究では、グローバル化は党派政治を弱くするとする議論と、逆にグローバル化は党派政治を強くするという議論の二つが対立してきた。本研究ではこれらの議論の架橋を目指し、非正規雇用者などの労働階層内のアウトサイダー層の規模に応じて、党派政治は弱くなったり強くなったりする、という仮説を立て、OECD諸国の法人税率のデータで実証した。この研究成果は国内の査読付き学術雑誌である年報政治学で発表された。 次に、新たに登場しつつある経済政策である社会的投資政策をめぐる党派政治について分析を行なった。社会的投資政策とは教育や積極的労働市場政策など、従来の失業保険などの事後的な政策とは異なる新たな福祉政策である。先進諸国のデータを分析した結果、グローバル化の進展に伴い、右派政権はは社会的投資政策への支出を増やすことは確認できなかったものの、左派政権は社会的投資政策への支出を増やすことがわかった。グローバル化の進展に伴い、新たな党派政治が形成されつつあることが実証された。この研究成果はSASE 31st Annual Meetingで報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記の通り、研究計画の大幅な見直しを伴ったこと、および研究代表者が健康上の問題で3ヶ月間研究を中断したことが遅延の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が最終年度となるため、本年度で修正した研究計画を元に最終的な成果(博士論文)を生み出せるよう、研究を展開する。本年度ではグローバル化が党派政治に与える影響を分析したので、今度はグローバル化によってもたらされた党派政治の変容がどのような政治社会的帰結をもたらすのか、について検討を行う。加えてグローバル化以外の要因である制度改革(特に中央銀行)に関しても並行して分析を行う。
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