2020 Fiscal Year Annual Research Report
アウトフローが生み出す多様なX線スペクトル状態の解明と超臨界降着天体への応用
Project/Area Number |
19J14724
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北木 孝明 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ブラックホール / 超臨界降着流 / アウトフロー / 超高光度X線源 / 天文学 / 降着円盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
超臨界降着状態にある超高光度X線源や狭輝線セイファート1型銀河では、スペクトルの状態遷移や軟X線超過といった特徴が観測されてきたが未解明である。本研究では、アウトフローとのコンプトン散乱がこれらの特徴と関係していると考え、アウトフローの性質を詳しく調べることで超臨界降着流の正確な全体像を築く事に成功した。 先行研究では、一般相対論効果や磁場を考慮した数値計算アルゴリズムの改良を重点としてきたため、計算資源と計算時間の制限から非現実的な初期条件、境界条件が採用されてきた。しかし、アウトフローはこれらの条件に強く依存することを我々は発見した。そこで我々はより現実的な計算設定である非常に大きな初期角運動量を用いた輻射流体計算を行うことで、超臨界降着流の(1)円盤構造、(2)アウトフローの発生源、に着目して詳細を明らかにした。 (1)ブラックホール近傍では降着円盤からの質量噴出率が質量降着率に対して無視できるほど小さいということを世界で初めて明らかにした。さらにその領域では、円盤の温度や回転速度といった物理量がスリム円盤のものと良い一致を示す一方で、対流効果によりガス密度と動径速度の半径依存性はスリム円盤と大きく異なることも世界で初めて明らかにした。 (2)超臨界降着流では多量のアウトフローが出ると考えられてきたが、具体的にどこでアウトフローは発生し、どの程度周りの環境へ影響を与えるかは明らかにされてこなかった。本研究成果によって、アウトフローは、光子補足半径より内側で発生することが初めて明らかとなった。更に光子補足半径付近で発生したアウトフローは十分な加速を受けず、円盤に戻ってくることも明らかとなった。また、アウトフローの力学的エネルギー流束と等方的なX線光度の比が、星雲を持った超高光度X線源の実際の観測値と無矛盾であることもわかった。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)