2019 Fiscal Year Annual Research Report
情報幾何を用いた、細胞集団プロファイルの異同とその生物学的背景の統合解析
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19J14816
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 大瑚 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 情報幾何 / シングルセル解析 / 確率分布 / サイトメトリー / ノンパラメトリック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、詳細な細胞集団プロファイルの異同の解析を行うため、確率分布の集まりが持つ幾何学的性質扱う情報幾何学の知見を用いて新規の解析手法である拡大指数型分布族分解法(Decomposition into Extended Exponential Family: DEEF)を開発した。指数型分布族は情報幾何の分野でよく研究されている確率分布族であり、この表現の下では各分布の異同はθ座標によってパラメタライズされる。正規分布や二項分布など多くの確率分布が指数型分布族に属する一方で、混合正規分布など生命科学で頻繁に登場する分布の中にはこれに該当しないものも存在する。本手法では、情報幾何学の分野でよく研究されている指数型分布族について制約を緩めた拡大指数型分布族を新規に定義することによって、任意の多次元確率分布からのデータ標本のセットに対して、分布間内積行列のみからそれぞれのサンプルに拡大指数型分布族表現での座標を与え、さらに行列演算に基づくアルゴリズムを用いて分布の異同を説明するパラメータを座標として情報のロスなく取り出し、それぞれの座標が説明する構成分布を同定する。まず、DEEFの数学的な理論を整備を行い、様々な理論的な分布セットを用いた解析から、拡大指数型分布族分解法によって適切に分布セットのパラメータ構造の抽出が行えることを示した。また、公共データベースから取得したEGF 刺激後の4 マーカーのサイトメトリーデータから細胞集団プロファイルのダイナミクスの描画、主要なパターンの抽出、タイムコースの補完を行った。また、ソフトウェアはR パッケージとしてGithub 上で公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の基盤となる細胞集団プロファイルの異同定量のための新規手法を完成させ、論文として発表を行なったため。
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Strategy for Future Research Activity |
提案した新規手法である拡大す数型分布族分解法のさらなるアルゴリズムの改良および実データへの適用を両軸に研究を進めていく。
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Research Products
(2 results)