2020 Fiscal Year Annual Research Report
物理パラメータに着目した、細胞内外ナノ構造の空間的制御
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19J14903
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
延山 知弘 筑波大学, 数理物質系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 脂質ラフト / 相分離生物学 / 相分離の制御 / 金ナノロッド / HDL |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はモデル脂質ラフトの生成消滅制御を制御するナノデバイスの世界初の開発に成功し、原著論文を発表することができた(Langmuir,DOI:10.1021/acs.langmuir.0c00049)。この結果を取り入れた博士論文を執筆し、博士号を授与された。加えて生物物理学会若手の会関西支部、北海道大学、名古屋大学において招待講演を行ない、また脂質膜の相分離と相分離生物学に関する書籍の分担執筆(白木賢太郎編「相分離生物学の全貌」内、第24章「脂質膜の相分離とその未来」)を行い出版された。 また、生体分子の相分離により生体現象が説明されるという「相分離生物学」を研究に取り込み研究を修正するために、この分野の第一人者である筑波大学数理物質系物理工学域の白木賢太郎教授の研究室に短期滞在した。この期間が新型コロナウィルスの感染拡大時期と重なり実験が困難となるなどのトラブルが生じたが、生体分子の液-液相分離による構造体「液滴」や、固-液相分離による構造体「凝集体」の作製方法を習得した。 加えて、これまでの知見から、脂肪酸の一種であるオレイン酸が、ある種の塩添加時に球状ミセルから粘度の高いひも状ミセルに変化することを見出した。現象自体は2014年度にオレイン酸-塩化ナトリウム系(NaOL-NaCl系)で示されていたが、カチオンのイオン半径を検討することで、小さなイオン半径の塩を添加した際にはNaOLは速やかに凝集すること(固-液相分離)、中程度のイオン半径ではひも状ミセルを作りやすいこと、イオン半径が大きい場合は粘度の上昇がさほど見られないといった系統的な知見を世界で初めて得ることができた。さらに予備検討の結果、オレイン酸分子それ自体がタンパク質の熱安定性を向上させる(白濁がみられない)ことを示唆しうる現象を観測した。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
Researchmap内の個人ページである。
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