2019 Fiscal Year Annual Research Report
道路橋床版の設計と維持管理の連続照査を可能とする構造性能評価技術の開発
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19J14933
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹田 京子 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 道路橋コンクリート床版 / 疲労耐久性 / 疲労寿命予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では道路橋床版を対象として,主として疲労に関する検討を扱ってきた.著者らは,過去に実施された床版の輪荷重走行試験結果に基づき,実験データを統一的に評価可能で,なおかつ,せん断抵抗機構および破壊機構に基づいた鉄筋コンクリート(RC)およびプレストレストコンクリート(PC)床版の疲労寿命予測式を提案している.昨年度,著者らはこの提案式に関連して,PC床版接合部の疲労耐久性評価に関する検討を行った.一般にプレキャストPC床版同士は,継手構造と現場施工の間詰コンクリートを用いたRC構造により接合する.これまで,様々な継手構造が提案されるとともに,輪荷重走行試験を含む実験的評価や検討が行われてきた.しかしながら,床版接合部が繰返し移動輪荷重を受ける場合の疲労耐久性の定量的評価は行われていない.そこで著者らは,接合部を有するプレキャストPC床版の疲労耐久性評価に関する検討を進め,この結果を論文として報告している.たとえば,提案している疲労寿命予測式を拡張するかたちでPC床版接合部の疲労寿命の試算を行うとともに,継手鉄筋が接合部の疲労耐久性に及ぼす影響について解析的検討を行った結果を報告している. また,道路橋床版は,交通荷重の繰返し載荷によって,まず橋軸直角方向にひび割れが生じることがわかっている.これが貫通することで,配力筋のみで結合された梁が並んだような状態,すなわち,スラブの梁状化が起こる.このため,道路橋床版の疲労損傷を検討するにあたっては,せん断補強筋を持たないRC梁としての検討が有効な手段といえる.著者らはせん断補強筋を持たないRC梁のせん断疲労に関して,静的載荷と疲労載荷の差異に着目した解析的検討と実験的検討を進め,その結果を報告している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は大きく分けて次の2点の成果があり,これらが研究目的である道路橋床版の構造性能評価の構築において重要な要素となると考えているため,このような自己点検による評価とした.具体的には,継手を要するPC床版接合部の抵抗機構を解析的手法により明らかにし,疲労寿命予測の試算と検討を行ったこと,そして,せん断補強筋を持たないRC梁の静的載荷と疲労載荷の差異に着目した解析的検討と実験的検討を行い,抵抗機構の差異を明らかにしたこと,の2点である.このため,概ね計画通りの進捗状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した床版の疲労耐久性評価法に対する考え方や仮定に基づき,実道路橋の床版の性能評価法としての確立と適用範囲の拡大を目指す.今後は主として,疲労損傷過程の解明,これに基づく耐力低下モデルおよび疲労寿命予測法の構築,実道路橋床版の諸条件の適用性に関する検討を行う. 現在は,せん断補強筋を持たないRCはりの静的載荷および疲労載荷試験を対象として,斜めひび割れ情報や圧縮域コンクリートの主ひずみ変化に着目して,静的破壊と疲労破壊の変形性状について検討を続けている.これに基づき,繰返し載荷を受けるRC部材の疲労損傷過程を解明する.また,疲労損傷過程とひび割れ情報との関連づけを行い,これを外観目視による性能評価への活用することを試みる.また,実床版におけるランダムな荷重変動を想定した場合に必要となるコンクリートの累積損傷に関する検討を行う.既に昨年度実施している上限荷重を変化させた疲労試験の実験結果を用いて,既往の評価手法との比較を行いながら,部材レベルでのコンクリートの累積損傷モデルの構築を試みる.
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Research Products
(8 results)