2019 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of bioactive ingredients from Miso
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19J14971
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中村 文彬 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 生理活性物質 / ケミカルバイオロジー / エピゲノム / 抗ストレス活性 / 味噌 |
Outline of Annual Research Achievements |
味噌からエピゲノムを指標とした生理活性成分の探索により、抗ストレス活性成分フェルラ酸エチルエステル(FAEE)を明らかにしたが、本成分の作用メカニズムは知られていない。低分子化合物の作用メカニズム解明へのアプローチは様々あるが、エピゲノム調節は酵素だけでなく、様々な補酵素や補因子など数多くの制御因子によって巧妙に制御されているため、FAEEによる直接の標的分子を同定することはメカニズムを理解する上で重要となる。そこで本研究では、FAEEの標的分子および標的遺伝子領域を明らかにすることでFAEEの作用メカニズムの解明を目指している。 本年度はHeLa細胞を用いたFAEEの標的分子候補の探索を行った。まず、合成した24種類のFAEE類縁体をもとに設計したFAEEのプローブ分子を用いて、HeLa細胞でのFAEEの細胞内局在が細胞質であることを明らかにした。次に、標的分子のプルダウン実験をHeLa細胞の細胞質由来タンパク質に焦点を当てて行ったところ、ひとつのバンドが得られた。そのバンドをLC-MS/MSによるアミノ酸配列解析およびWestern Blottingによって標的分子候補を同定した。しかしながら、標的分子候補をRNAiによる細胞のフェノタイプを確認したところ、FAEEのものとは異なる結果が得られたため、その他のバンドについてもタンパク質の同定を進めている。加えて、マウスES細胞から分化誘導した神経幹細胞についてもHeLa細胞と同様な方法を用いてFAEEの標的分子候補の探索を行っている。また、次年度計画しているChIP-seq解析やRNA-seq解析の予備検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、有機合成や遺伝子組み換えなどの手法を取り入れることでヒトがん細胞を用いたFAEEの標的分子候補の探索をおおむね順調に進められた。期待していた標的分子候補がRNAiによってFAEEと異なるフェノタイプを示したが、その他の標的分子候補の探索も含め、詳細な検討を重ねることでFAEEの真の標的分子の同定ができると考えている。また、ES細胞から大量に誘導する必要があった神経幹細胞の調製が順調であったため、神経幹細胞でのFAEEの標的分子候補探索についても計画以上に進められている。一方で、FAEE処理による神経幹細胞の遺伝子発現量の変化については、神経分化に関連する転写因子の遺伝子のみ確認したため、次年度では、RNA-seq解析により網羅的にFAEEによる神経幹細胞の遺伝子発現変化を確認する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年度の研究を継続して進める。また、これまではLC-MS/MSによるアミノ酸配列解析を外部委託により行っていたが、研究が進んでいくに連れて解析するサンプル量が増えてきたことや研究費、時間の制約によって、すべてを外部委託することが難しくなった。そこで現在、LC-MS/MSによるアミノ酸配列解析を所属機関にある機器で行えるように条件などの検討を進めており、今年度中にはアミノ酸配列解析を申請者によって行う予定である。これにより、効率的に標的分子の同定ができると考えている。また、FAEEの神経分化誘導作用機構を遺伝子発現変化の面から推察するため、RNA-seq解析によって、神経分化に関連する転写因子の遺伝子だけではなく、網羅的にFAEEによる神経幹細胞の遺伝子発現変化を確認する。 そして、ここまでに明らかにした標的分子とエピゲノム変化遺伝子領域および遺伝子発現変化との関係をもとに、FAEEのエピゲノム機能および抗ストレス作用の作用メカニズムを同定したいと考えている。
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