2019 Fiscal Year Annual Research Report
トポロジー変換されたポリウレタンによる力学特性の自在設計
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19J15174
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
青木 大亮 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ポリウレタン / プラスチック / 力学特性 / トポロジー / 櫛型高分子 / レオロジー / 絡み合い / アモルファス |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子材料において目的の力学特性の組み合わせ(ヤング率、破断強度、破断伸び、およびタフネス等)を単一の材料で分子構造から自在設計することは困難であった。近年、櫛型トポロジーを用いたポリマー鎖同士の絡み合いを希釈する手法によって、この力学特性の自在設計が実現されつつある。しかしながら、ソフトマテリアルの範囲に限られておりプラスチック材料のような硬い材料に対しては未だ実現していない。本研究は、これまでに申請者が見出した硬く高強度を示す櫛型ポリウレタンを用いた力学特性の自在設計を目的としている。 まず、櫛型ポリウレタンの線状ポリウレタンに対する高強度化現象を検討するために新規分子設計を行った。具体的には、ポリエチレングリコールベースのモノマーを用いて組成式が同一の線状ポリウレタンおよび櫛型ポリウレタンを設計し合成した。トポロジー異性体の関係にある新規ポリウレタンを用いて、トポロジーによる高強度化現象を明らかにした。さらに側鎖長と側鎖間隔の比が力学特性に重要な役割をはたしていることが示唆された。 また、側鎖長が異なるポリウレタン高強度化現象が起こる要因をレオロジー測定によって検討した。その結果、櫛型ポリウレタンは側鎖長に対する絡み合いの希釈効果が起こりにくく、分子鎖同士の摩擦が力学特性の高強度化に影響を与えていることが示唆された。また、側鎖長は高分子鎖同士の滑らかなスリップに関与しており、タフネスに相関があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、櫛型ポリウレタンの合成し力学特性およびレオロジー特性の調査を遂行した。その結果、櫛型ポリウレタンが高強度化現象を示す要因を分子構造およびレオロジーの観点から明らかにすることができた。分子設計を一部変更しているが、当初の目標であった分子構造と力学特性の相関は明らかになりつつある。また、次年度の目標であった高強度化現象の解明を当初の計画以上の進展で達成した。これらの成果は計画時の目標水準に到達しており,研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、前年度よりさらに広い範囲で分子構造と力学特性の相関を調べる予定である。さらに、前年度に得られた知見に基づき、高強度化現象に関して広い範囲の分子構造による影響を調べる予定である。様々な分子構造の組み合わせにより、力学特性の自在設計を目指す。
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