2020 Fiscal Year Annual Research Report
モノアニオン性ジアザポルフィリン触媒による水を酸素源とした触媒的酸化反応の開発
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19J15248
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西村 翼 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化反応 / 鉄触媒 / ジアザポルフィリン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに5,15-ジアザポルフィリン鉄錯体を触媒とするアルカンの触媒的酸化反応を開発し、炭素類縁体であるポルフィリン鉄錯体よりも高い反応性と安定性を示すことを報告した。しかし、本反応系でも失活過程を完全に抑制できていない。その失活過程の一つとして錯体が酸素で架橋したμ-オキソ錯体の形成が確認されており、これはジアザポルフィリン配位子周りの低い立体効果に起因する。そこで本研究では、ジアザポルフィリンのβ位にかさ高い置換基を導入することで、錯体の二量化の抑制に期待して3,7,10,13,17,20-ヘキサメシチル-5,15-ジアザポルフィリン鉄錯体を合成し、その構造および光学的・電気的性質を明らかにした。さらにアルカンの触媒的酸化反応を検討し、その触媒活性を評価した。配位子の前駆体となるテトラブロモジアザポルフィリンフリーベースの選択的な合成手法はこれまで報告されていない。そこで今回はテトラブロモジピリンを出発原料として用いることで、対応するテトラブロモジアザポルフィリンを選択的に得ることに成功した。このブロモ基はパラジウム触媒によるカップリング反応によりメシチル基へと変換することができた。最後に、塩化鉄を作用させることで目的の鉄錯体を良好な収率で得た。シクロオクタンの直接的酸化反応を検討したところ、対応するアルコールが44%、ケトンが11%の収率で得られた。一方で、ジメシチルジアザポルフィリンでは収率は低下した。反応の詳細な情報を得るために、アルコールとケトンの生成量の時間変化を追跡した。その結果、反応の初速度は同程度であったものの、ヘキサメシチルジアザポルフィリンはより高い安定性を示した。以上の結果は、ジアザポルフィリンの外周部への置換基の導入は、錯体の反応性を低下させることなく、安定性を付与したことを示唆している。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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