2019 Fiscal Year Annual Research Report
ε相酸化ガリウムの結晶成長と超ワイドバンドギャップパワーデバイス応用に関する研究
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19J15504
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田原 大祐 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 酸化ガリウム / 超ワイドバンドギャップ半導体 / ミスト化学気相成長法 / 準安定相酸化物 / 薄膜 / 強誘電体 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ガリウムは代表的なワイドバンドギャップ半導体材料である窒化ガリウムや炭化ケイ素よりも大きなバンドギャップを有する超ワイドバンドギャップ半導体である。結晶多形である酸化ガリウムのなかで、準安定相であるε相酸化ガリウムは唯一、自発分極及び強誘電体特性を有する。本研究では、ε相酸化ガリウムのヘテロ接合型パワーデバイスを作製し、従来のパワーデバイスを凌駕する省エネデバイスを実現することを目的としている。本検討では、薄膜成長における課題に着目し、下記の検討を進めた。
面内の回転ドメイン制御に向け、正方晶の結晶構造を有する酸化チタン(100)基板上への薄膜成長を試みた。透過電子顕微鏡法による微細構造分析の結果、ε相酸化ガリウム薄膜は面内の回転ドメイン構造のコラム柱状の多結晶膜であることが明らかになった。更に、制限視野電子回折分析の結果から、基板とε相酸化ガリウム薄膜との界面層に熱的最安定相のβ相酸化ガリウムが成長していることが判明した。シングルドメイン構造を有する薄膜を得るには、引き続き、下地基板の結晶構造に着目した検討が必要である。
高品質かつ表面平坦性の高い薄膜を得るための検討として、ミストCVD法による結晶成長におけるビスマス前駆体使用の効果について調査した。その結果、Bi前駆体使用の有無に関わらず、成長温度700℃で単相のε相酸化ガリウム薄膜が得られた。更に、Bi前駆体を使用した場合、Bi原子の膜中への取り込みは確認されず、Bi前駆体原料を使用しない場合と比較して、結晶品質及び表面平坦性が向上した。これは結晶成長におけるビスマス原子のサーファクタント効果によるものと考えられる。薄膜成長における新しいアプローチは将来の超ワイドバンドギャップパワーデバイスの実現において有用な知見であるといえる。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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