2019 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ感染モデルを用いた天然資源からの抗酸菌症治療薬の探索研究
Project/Area Number |
19J15511
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
八木 瑛穂 東北医科薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | カイコ感染症モデル / 抗生物質 / 抗酸菌症 / MAC / 天然資源 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
結核を代表とする抗酸菌症に対する臨床薬は数が少なく、長期の投薬による耐性化や副作用などの問題もあることから、新たな薬剤が求められている。そこで本研究では、薬剤候補化合物の生体内での治療効果を迅速に評価出来る in vivo 評価系「カイコ抗酸菌症 (結核および非結核性抗酸菌 (NTM) 症) モデル」を用いて、治療薬の新規リード化合物を天然資源から発見することを目指している。 本年度は、当研究室で保有する化合物ライブラリーと、陸棲および海洋微生物の培養液や海洋生物および植物の抽出液約 2,000 サンプルをスクリーニングした。検定菌には、結核菌の代替菌として Mycobacterium smegmatis および M. bovis BCG、さらに NTM 症の一つ肺 MAC (M. avium complex) 症の起因菌である M. avium および M. intracellulare の 4 種抗酸菌を用いた。まず in vitro (微量液体希釈法) で抗抗酸菌活性を示すサンプルを選択し、次に in vivo (カイコ抗酸菌症モデル) で治療効果を示すものを候補サンプルとし、治療効果の高かったサンプルから優先的に活性物質の単離精製・構造解析を行った。その結果、M. avium を感染させたカイコ MAC 症モデルで治療効果を示す活性物質として、放線菌が生産する既知化合物 ohmyungsamycin A および B、chartreucin、griseoviridin を見出した。特に ohmyungsamycin A は、臨床薬クラリスロマイシン (ED50 = 25 μg/larva・g) よりも優れた治療効果 (ED50 = 13 μg/larva・g) を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病気による休学のため令和元年 12 月から令和 2 年 3 月まで研究を中断し、遅れが生じた。当該年度に予定していたスクリーニングは行うことができたが、目的とする新規物質は得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
微生物の培養液サンプルを中心にスクリーニングを継続し、治療効果の高いサンプルから優先的に活性物質を単離する。得られた化合物については、NMR スペクトルや MS スペクトルをはじめとした各種スペクトル解析を行い、立体を含めた化学構造を決定する。 また、培養液レベルで治療効果を示すサンプルが少ないことから、in vitro で抗酸菌選択的に強力な抗菌活性を示すものについても、同様に培養液中からの活性物質の単離精製および構造決定を行い、新規抗抗酸菌物質の発見を目指す。 得られた化合物については、詳細な抗菌スペクトルおよびカイコ抗酸菌症モデルでの治療効果を確認する。
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