2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the Occupant Behaviour Stochastic Models & Its Implementation in the Building Thermal Simulation with Field Trials
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19J15521
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
今川 光 東京都市大学, 環境情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 環境調整行動 / 行動的適応 / 適応的快適性 / 住宅 / フィールド調査 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では日本の住宅から得られたフィールド調査のデータを用いて、居住者の環境調整行動モデルを開発し、熱負荷シミュレーションへの導入を検討と実証実験を行うことを目的としている。日本の住宅において一般的に普及しているエアコン冷暖房使用と窓開閉行動について、これらの対応関係を基した統合モデルの開発を行った。また、日本で広く普及している扇風機の使用について、単独使用や窓開放、あるいはエアコン冷房使用との併用の傾向を分析し、ここから得られた知見を用いて、前述の窓開閉・エアコン冷暖房使用の統合モデルへ扇風機使用の組入が行えた。この統合モデルでは各環境調整行動の頻度を相対的割合値として算出し、居住者の環境調整行動の優先性を定量的に把握することができた。高外気温帯での扇風機使用は単独使用よりも窓開放やエアコン冷房と併用される頻度が多い傾向が明らかとなった。また、着衣調整もモデル統合を検討するために、エアコン冷暖房使用及び窓開閉の状態ごとに平均着衣量を用いて傾向を分析した。この分析からエアコン冷暖房不使用時では年間を通して平均着衣量も大きく変動する一方、エアコン冷房使用時は男女のどちらも平均約0.3cloで推移した。 また、エアコン冷暖房不使用時の着衣量と熱的快適性を各月平均値で算出したところ、外気温が上昇傾向の春季の方が下降傾向の秋季よりも暑い側に申告し、着衣量も低い傾向であった一方で、快適温度は春季・秋季の差が見られない傾向であった。これは環境調整行動の研究における季節遷移の考慮の必要性を示唆している。 以上のように住宅の環境調整行動は年間の季節変動に応じて切り替えられている一方で、エアコン冷房の設定温度については、様々な設定温度を設定している居住者であっても、外気温との対応関係はないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
エアコン冷暖房及び窓開閉の統合モデルについては査読付き雑誌論文の掲載に至った。また、扇風機併用の傾向だけでなくモデル統合に至った点は当初の計画以上の進展である。この成果は現在、英紙査読論文として審査中のプロセスに至る。
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Strategy for Future Research Activity |
環境調整行動モデルの熱負荷シミュレーションへのアルゴリズム導入について検討を行う。熱負荷シミュレーション内で構築された居住者行動アルゴリズムを基に、実際の住宅における空調システム制御による測定実験も行い、シミュレーション結果との整合性を検証する。
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