2019 Fiscal Year Annual Research Report
網膜静脈閉塞症に対する新規治療標的分子アディポネクチンに関する基礎的・臨床的研究
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19J15612
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西中 杏里 岐阜薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 眼 / 網膜 / 網膜静脈閉塞症 / 網膜 / 虚血 / 浮腫 / 血管内皮 / 抗VEGF抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
高血圧や動脈硬化などが原因で網膜血管が狭窄あるいは閉塞し、網膜内浮腫が起こる眼疾患の一つとして、「網膜静脈閉塞症」がある。治療薬である抗vascular endothelial growth factor (VEGF) 薬は、十分な効果を示さない患者や再発する患者など病態の進行を抑制できない症例が存在する。失明原因となる硬性白斑は脂肪成分の蓄積により引き起こされるため、脂肪成分量を調節する「アディポネクチン」に着目した。我々の過去の報告において、病態解明及び新規治療標的の探索に有用なマウス網膜静脈閉塞症モデルを作製した (Fuma S et al., Sci Rep, 2017.) 。本研究では、網膜静脈閉塞症に対する新規治療標的として「アディポネクチン」に着目し、病態に対するアディポネクチンの作用を解明することを目的として、マウス網膜静脈閉塞症モデルを用いて検討した。マウス網膜静脈閉塞症モデルにおいて、アディポネクチンの発現増加が認められ、血管内皮細胞及びペリサイト細胞とアディポネクチンの発現が共局在していることを見出した。また、マウス網膜静脈閉塞症モデルに対する抗アディポネクチン抗体の投与による網膜浮腫抑制作用に加え、眼内の虚血領域の面積を抑制することを明らかにした。さらに、抗VEGF抗体の投与では、マウス網膜静脈閉塞症モデルの病態を悪化させる投与タイミングにおいて、抗アディポネクチン抗体を投与した場合、網膜静脈閉塞症の病態を改善することを見出した。抗アディポネクチン抗体の投与により、VEGF及び炎症関連因子の発現が抑制されること、ペリサイトの脱落を抑制することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、眼内におけるアディポネクチンの発現増加が血管透過性亢進因子の発現増加に重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、網膜静脈閉塞症モデルの病態後期においてアディポネクチンの発現が増加しており、病態後期に抗アディポネクチン抗体を投与した場合、病態を改善したことから、網膜浮腫を有する眼疾患の病態進行とアディポネクチンの発現増加が相関していることが推察された。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の検討により、アディポネクチンの発現増加が認められた血管内皮細胞及びペリサイト細胞におけるアディポネクチンの作用について更なる検討を行う。また、抗VEGF抗体投与時のアディポネクチンの発現変化、抗アディポネクチン抗体投与後のVEGFの発現変化など検討する。さらに、アディポネクチンの網膜浮腫に対する作用だけではなく、その他の眼疾患病態に対するアディポネクチンの関与の可能性も考慮に入れ、より詳細に検討を行う。
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[Journal Article] Nrf2 activator RS9 suppresses pathological ocular angiogenesis and hyperpermeability2019
Author(s)
Nakamura S, Noguchi T, Inoue Y, Sakurai S, Nishinaka A, Hida Y, Masuda T, Nakagami Y, Horai N, Tsusaki H, Hara H and Shimazawa M
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Journal Title
Investigative Ophthalmology and Visual Science
Volume: 60
Pages: 1943-1952
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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